DXに取り組む日本企業が増える中、DXを推進するCIOの多くが「DX人材」「デジタル人材」の確保に苦心しているという。実際にガートナーが2021年7月に開催したウェビナーでは、必要とする人材や育成方法に特に課題がある回答者が多く見られたとしている。ガートナーでは、CIOやITリーダーがDXを推進する際に、以下の5つの役割が必要であると提言している。
- ビジネス系プロデューサー(ビジネス・アーキテクト):DXによるビジネス・ゴールを定義し、新たなビジネス・モデルを考えたり、DXに関する企画を考えたりする役割を担う。経営層や社内外の意思決定者とのビジネス面でのコミュニケーションにも責任を持つ。
- テクノロジ系プロデューサー(テクノロジ・アーキテクト):ビジネス・ゴールの達成に向けた最適なデジタル・テクノロジの特定やテクノロジの適用によるシステム面の影響の分析、予測などを担う。経営層や社内外のエコシステムのパートナーに対する技術面のコミュニケーションにも責任を持つ。
- テクノロジスト(エンジニア):現場で実際にテクノロジを活用する役割を担う。自動化、データ・サイエンス、モノのインターネット (IoT)、人工知能 (AI) などの新興領域に注目しがちだが、確実にDXを推進していくためには、通信ネットワーク、IT基盤、セキュリティ、クラウドなどの既存の領域の役割も重要である。テクノロジストもまた、全従業員が対象となる。
- デザイナー:ソリューション、サービス、アプリケーションのユーザー・エクスペリエンス (UX) をデザインする。UX面のコミュニケーション、UXとデザインに関する知識の社内普及に向けた教育なども行う。
- チェンジ・リーダー:デジタル・テクノロジの導入に伴う働き方 (業務、意識など) のシフトの主導、変革の目的やゴールの整理、変革のコミュニケーション計画の作成、関係者全員を巻き込んだ意識と行動変容に向けた施策の計画/展開などを担う。
DX人材に求められる特性
ガートナーはDX人材に求められる知識/スキル/コンピテンシとして、「意識 (マインドセット)」「デジタル・イノベーション」「IT」「ビジネス」の4つの分野を挙げていつ。「意識」の例としては、「協調性」「決断力」「学習志向」「リスク・テイク」「ダイバーシティ/エクイティ/インクルージョン」があります。これら4つの分野は、DXの5つの役割すべてに共通するが、それらの重みとバランスは人材の役割と企業のデジタル戦略によって異なるとしている。