エミレーツ航空は2025年11月21日、米OpenAIと戦略的コラボレーションを締結したと発表した。今回の提携は、航空会社全体でのAI活用の高度化、およびイノベーション創出を主目的とし、多角的な取り組みを実施する。中核プロジェクトとしてChatGPT Enterpriseを全社的に導入し、部門横断でAI定着を支援するためのAIリテラシー向上プログラムや技術検証・探索を進める。

このコラボレーションを通じて、エミレーツ航空はAIの導入をより戦略的かつ拡張性あるものへ進化させ、組織全体での活用基盤を体系的に整備していく計画である。経営層とのアライメントにも注力し、AI導入を全社戦略の一部として推進する。今後は社内のAI推進体制を整備し、AIセンター・オブ・エクセレンス(CoE)設立も予定している。
IT部門エグゼクティブ・バイスプレジデントであるアリ・セルダル・ヤクット氏は、「AIテクノロジーはビジネス要求への対応やオペレーション強化、顧客体験向上に大きな可能性がある。OpenAIとの協業で投資の戦略性や価値創出を加速させ、イノベーションのあり方自体を進化させる」とコメントした。
また、OpenAI 中東・北アフリカおよび中央アジア地域統括ディレクターのロッド・ソレイマニ氏は、「エミレーツ・グループはAIによる業界変革の明確なビジョンを持つ。共同でその実現を支援し、組織全体に知見や新ツールをもたらす」と述べている。
両社は、AIの導入・実務活用検討に加え、経営層向けのセッションやAI推進体制強化に取り組む。OpenAIのプロダクトロードマップ共有を通じて、中長期的なAI計画策定も支援していく。
テクノロジーチーム同士も連携し、OpenAIモデルの最適統合と迅速な試作・展開、ベストプラクティスの確立、安全な検証環境でのユースケース実験を進める。これらを通じ、全社横断でスキル・業務プロセス・技術面からAI活用の重点領域を特定し、新たな成長基盤を築く体制強化に努める。
今回の協業により、エミレーツ航空は先進AI研究や新技術動向への早期アクセス、政府主導のイノベーションプロジェクトやアクセラレータープログラムとの連携機会を得る。今後もテクノロジー・イノベーション推進による価値創出と、持続的成長への取り組みを強化していく。
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