ハードウェアからみる量子コンピューティングの進歩
続いて、量子コンピューティングの進歩について、ハードウェア面に注目してみよう。こちらもまずは古典コンピュータの構造から把握する必要がある。主なビルディングブロックは0と1というビットで、ここに電子の流れを制御してビットを機能させるトランジスタが適用される。トランジスタ以外に真空管なども使われていたことがあるが、トランジスタの方が安価で拡張性や利便性、信頼性も高いため、主流となった。
古典コンピュータの構築方法が1つではないように、量子コンピュータも様々な方法で構築できる。量子ビットの構築には0と1に加え、その重ね合わせの状態を実現できるものが必要だ。使用する道具によって量子の挙動は変わるが、冒頭で説明した超伝導体を使って量子ビットを構築できる他、正味電荷を空間内に閉じ込めた原子である捕捉イオン、光の光子、ダイヤモンドも使用可能だという。現状、トランジスタを使用した場合の挙動はわかっていないが、近いうちに解明されるとポインティング氏は話す。それぞれの方法に強みと弱みがあり、現在はトランジスタに匹敵するものを探している段階だ。量子コンピュータを構築するだけでなく、拡張して信頼性を上げ、コストを下げる方法を探っている。