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「三位一体の経営」の実践者

なぜ日本の大企業のROEは下がりつづけるのか──障壁の構築と集団的意思決定に必要なこと

ゲスト:みさき投資株式会社 代表取締役社長 中神 康議氏

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 新連載「三位一体の経営の実践者」では、みさき投資 代表取締役社長 中神 康議氏が経営者との議論から「三位一体の行動パターン」を探索する。前編では、実質賃金が上がらない日本企業とその打開策、三位一体の経営の中核概念を伺った。本稿では、三位一体の経営で必須となる「障壁の構築」、競合他社に真似できないリスクテイクにおける「集団意思決定」のガバナンス、三位一体の経営におけるチェックリストとなる「資本生産性の指標」などに関して伺った。

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事業で儲けるための「障壁」とそのメカニズム

──前編では、日本の実質賃金がOECD加盟国の間でも、日本だけ横ばいで上がっていないという事実、GAFAMなどに代表される米国企業の株式報酬の仕組み、「三位一体の経営」のポイントである「経営の4つの型」「事業の4つの型」をお伺いしました。

 「三位一体の経営」は、長期的な時間軸での経営を前提にされています。創業当初や事業開始時はROEやROIC、ROAが高水準な企業が、長期的にそれを維持することが難しい理由、またその対応策に関してお伺いできればと思います。

中神 康議氏(みさき投資株式会社 代表取締役社長、以下敬称略):日本の上場企業では現在、ROEが長期で8%を上回る企業が半分にも満たない状況です。その理由は圧倒的な事業マージンの低さ、つまり「事業で儲けていない」ことです。

 この課題を解決するには、いわゆる差別化とは違う「障壁」の構築が必要です。そして、障壁は以下の図のように大きくわけると3種類しかありません。

障壁の3種類
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 障壁の1つ目は「コスト優位」であり具体的には低原価と独占的技術です。障壁の2つ目は「顧客の囲い込み」であり、習慣化やスイッチングコスト(乗り換えコスト)、サーチコスト(探索コスト)に分類できます。そして最後の障壁が、規模の経済と顧客の囲い込みの組み合わせであり、これが最強の障壁となります。

 ただし、この最強の障壁を構築する際には注意が必要です。まず考えるべきは、規模の経済が働くためには「絶対シェア」ではなく、「相対シェア」が重要だということです。「シェアが大きいか?」だけではなく、「競合と比べて相対的にはシェアが大きいか?」という観点が必要です。相対シェアが高い場合は、規模の経済性によって構造的な低コストが実現します。また、さきほどの「習慣化」「スイッチングコスト」「サーチコスト」などの顧客の囲い込みができていることも必要な条件となります。せっかく築いた規模も、顧客の囲い込みができていなければ、巨大な競合プレイヤーが攻めてきた時に簡単に奪われてしまいますからね。

──単なる差別化ではない「障壁」を構築することの難しさを感じます。

中神:確かにそうですね。ただ、日本企業のROEが低調な要因は事業で儲けが出ていないこと。その理由を「コストとプロフィット」と「リスクとリターン」の関係から、以下の図を用いて説明します。

障壁の3種類
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 私は事業で「儲ける」という行為には、2つしかないと考えています。1つ目の儲けのメカニズムは、競合が顎を外すほどのコストを投入するからこそ得られる「プロフィット」です。私はこれを「働かざるもの、喰うべからず」と呼んでいます。競合他社にはできないコストをかけるからこそ、真似されない。結果として障壁が構築でき、プロフィットが生まれそれが長続きするのです。

 2つ目の儲けのメカニズムが、競合が腰を抜かすほどのリスクをとることで得られる「リターン」です。これを「虎穴に入らずんば、虎児を得ず」と呼んでいます。腰を抜かすほどリスクをとるから競合は真似できない、真似したくない。結果として障壁が構築でき、持続的なリターンが得られるわけですね。

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この記事の著者

栗原 茂(Biz/Zine編集部)(クリハラ シゲル)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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