住友化学は、2022~24年度の中期経営計画を策定した。サステナブルな社会の実現に向けて、カーボンニュートラルや生態系保全などの社会的課題に対して広義のグリーントランスフォーメーション(GX)を進め、事業を通じて課題解決に貢献することを目指す。
この中期経営計画では、スローガン「Change and Innovation ~with the Power of Chemistry~」を掲げ、基本方針として定めた「事業ポートフォリオの高度化(事業の強化と変革)」「財務体質の改善」「次世代事業の創出加速」「カーボンニュートラルへ向けた責務と貢献」など7つの重要経営課題に取り組むという。
基本方針
1.事業ポートフォリオの高度化(事業の強化と変革)
技術に立脚した事業の稼ぐ力を強化するとともに、GXへ向けたポートフォリオの構造改革を進めて、事業の新陳代謝を加速する。そのため、強化と変革が求められる事業領域へ経営資源を重点配分し、石油化学を再定義したエッセンシャルケミカルズでは環境負荷低減を中心に、高機能材料は半導体・電池材料関連分野へ、ライフサイエンスはバイオ・ゲノム分野に集中する。
2.財務体質の改善
前中期経営計画期間においてライフサイエンス分野への大幅な経営資源の投下により増加した有利子負債を、ROI経営の徹底やキャッシュフロー創出力の強化により削減し、24年度末に0.7倍程度のD/Eレシオ達成を目指す。さらなる施策として資産売却を500億円追加するとともに、キャッシュコンバージョンサイクル短縮により500億円の運転資金を圧縮する。
3.次世代事業の創出加速
引き続き「環境」「食糧」「ヘルスケア」「ICT」を重点4分野とし、スタートアップやアカデミアなどと連携するイノベーション・エコシステムの活用および国内研究拠点の再編・強化を通じて、早期事業化を目指す。
4.カーボンニュートラルへ向けた責務と貢献
2021年12月に公表した住友化学グループのカーボンニュートラル・グランドデザインに基づき、「責務」として温室効果ガス(GHG)排出量の30年度までの50%削減達成に向けた取り組みを進めるとともに、「貢献」についてはGHG削減に貢献する製品・技術の開発、社会実装およびライセンスを通じたグローバル展開を推進する。「貢献」の取り組みの一つとして、「Sumika Sustainable Solutions」認定製品の新たな売上目標を30年度までに21年度対比で2倍超の1兆2,000億円と設定し、この中期経営計画の最終年度である24年度までに7,000億円の達成を目指す。なお、本中期経営計画期間において研究開発を含めて650億円のカーボンニュートラル関連投資を行う。
5.デジタル革新による生産性の向上と事業強化
デジタル技術の活用により、顧客接点強化や顧客満足度向上など事業の競争力強化に向けた取り組み(DX戦略2.0)を本格的に推進する。研究開発、製造などの生産性向上の取り組み(DX戦略1.0)を継続・深化させるとともに、新たなビジネスモデルの実現(DX戦略3.0)にも着手する。また、全部門、全階層にわたるDXリテラシー向上を目指し、研究開発・製造部門のDX人材を330名体制に拡充するとともに事業・本社部門は新たに250名の人材配置を行う。本中期経営計画期間において700億円のDX関連投資を行う。
同社は、上記5点とともに、6.持続的成長を支える人材の確保と育成・活用、7.コンプライアンスの徹底と安全・安定操業の継続にも取り組んでいくという。
経営目標
同社は、この中期経営計画の経営目標(連結)として、下表のように設定した。
2024年度計画 |
2021年度予想 (参考) |
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売上収益 | 30,500億円 | 27,100億円 |
コア営業利益 | 3,000億円 | 2,450億円 |
営業利益(IFRS) | 2,850億円 | 2,250億円 |
親会社の所有者に帰属する当期利益 | 1,500億円 | 1,400億円 |
また、中長期的には、下記の数値目標の安定的な達成を目指すという。
目指す姿 (以下を安定的に達成) |
2024年度計画 |
2021年度予想 (参考) |
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ROE | 10%以上 | 11.7% | 13.1% |
ROI | 7%以上 | 7.2% | 5.7% |
D/E レシオ | 0.7倍程度 | 0.7倍 | 0.8倍 |
配当性向 | 30%程度 | 30%程度 | 28% |