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「自然資本」と経営・事業の統合

“単なる流行”ではない「自然資本・生物多様性」と経営の融合がもたらす、新たな企業価値とビジネス機会

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「自然資本」とはなにか 

 我々人間をはじめ、あらゆる生き物が自然の恵みに支えられて生きています。自然環境にはその恵みが一定量のストックとして存在しており、そのストックから生み出される利益や生態系サービスのフローが、人々と経済に供給されるというのが「自然資本」の考え方です。

 自然資本は、水、森林、土地、きれいな空気などの自然資産で構成されており、人間に健康的な生活の手段を提供し、経済活動を可能にしてくれます。そして、自然資本が与えてくれる食料、水、気候調節などの物質や恩恵は「生態系サービス」と呼ばれ、これらがすべての経済活動を支えているのです。

 自然資本のストックには下図に示す3つのフローがあり、これらのフローを受けて経済は成り立っています。

【出典】環境用語集:「自然資本」|EICネット(2022年6月12日アクセス)を基にEYジャパンが作成
【出典】環境用語集:「自然資本」|EICネット(2022年6月12日アクセス)を基にEYジャパンが作成
[画像クリックで拡大表示]

 自然資本のストックが減少すれば、当然これらのフローも減少し、経済にも支障を来すことになるでしょう。環境の変化は自然資本に依存するビジネスに悪影響を与え、経済にとって大きな混乱を引き起こす可能性があります。

 反対に、もし企業・事業者が生態系の機能と完全性を維持、または向上させることができれば、結果として対応する生態系サービスフローの収量を恒久的に確保できます。ビジネスの観点から、生産要素としての自然資本を安定させることは経済的なメリットとなるでしょう。そこで、自然資本の価値を適切に評価・管理していくことが国民の生活を安定させ、企業・事業者の経営の持続可能性を高めることにつながると考えられているのです。

自然資本の価値は測定できるか?

 自然資本の概念の浸透は、1980年代にイギリスの環境経済学者デイビッド・W・ピアース(David W. Pearce)氏が、自然資源とそれに係るサービスを「環境資産」と表現したことに端を発します。そこから、1990年代には生態経済学や社会経済学の分野においても、環境資産への関心が高まっていきました。

 特に、アメリカの生態経済学者ロバート・コスタンツァ(Robert Constanza)氏らが1997年にネイチャー誌で発表した『世界の生態系サービスと自然資本の価値』では、「資源と生態系サービスの金銭的評価」という考え方が提唱され、世界的注目を集めました。それ以降、「自然資本」の言葉が広く定着していくようになります。

 以降、自然資本の価値測定をめぐっては、下記2つの考え方に分かれていました。

  1. 代替不可能であるため、他の資本のように金銭的な比較ができず、コストベネフィット分析など一般的な測定もできない
  2. 資本とサービスは管理できるものであるため、コストベネフィット分析で測定することができる

 そして21世紀に入り、持続可能性がますます重視される昨今では、資本の特性(非代替性、非再現性など)など自然の制約を認識する考え方を経済分析に取り入れながら、自然資本の経済的価値だけではなく、環境、社会的価値も包括的に測定すべき、といったサステナビリティの観点から見る自然資本価値の捉え方が展開されるようになっています。

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Evonne Yiu(イヴォーン・ユー)

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