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テクノロジーで「第4の公共交通機関」確立を目指す──NearMe高原氏が語るMaaSビジネスの勝ち筋

第9回 ゲスト:NearMe 高原幸一郎氏

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物流の課題と自身の原体験から「タクシーの相乗り」を構想する

石野真吾氏(以下、敬称略):まずは高原さんがNearMeを創業した経緯を教えてください。

高原幸一郎氏(以下、敬称略):ドアツードアの移動をテクノロジーで解決したいという想いから、2017年にNearMe(以下、ニアミー)を設立、2018年の1月から事業を開始しました。ニッセイ・キャピタルのアクセラレーションプログラム「50M」に採択され、タクシーのシェアリングサービスの事業化を目指します。最初は終電後のタクシーのシェアサービスを事業にしようと考えており、三鷹駅や赤羽駅、成増駅、和光市駅、青葉台駅などで終電前後のタクシー乗り場に並んでいる方にインタビューをして需要調査をしました。そこである程度の需要は見込めるということがわかり、事業化に向けて開発を進めることにしました。

石野:2018年当時、タクシーの相乗りは日本だと難しいとされていたと思います。なぜタクシーに着目し、どのように解決していったのでしょうか。

高原:前職の楽天在籍時に物流事業の立ち上げに携わった際、経済圏が地域に閉じていく流れを感じ、ラストワンマイルの移動を得意とするタクシーが人もモノも運べるようになればと考えていました。テクノロジーを活用してタクシーによるラストワンマイルの移動を便利にすることで、物流や買い物なども有機的につながり、地域のエコシステムを形成することができると考えたのです。

 また、タクシーに着目したのは自分の原体験もあります。当時私が住んでいた駅では22時30分ごろに最終バスが発車してしまうので、仕事や飲み会帰りの時間帯にはバスに乗ることができず、タクシーに乗ることになります。コロナ禍前の当時は同じような方が多く、タクシー乗り場での行列で長時間待たなければならないこともありました。そのとき、ほとんどの方がバスの路線沿いに住んでいるはずなので、同じ方向の人たちでシェアできる仕組みがあれば、待ち時間もタクシー料金の負担も削減できるのではないかと思ったのです。

 もちろん相乗りに関する規制もあるのですが、基本的に乗車前に相乗りする人たちで合意にいたっていれば問題ありません。また、国土交通省やタクシー業界としても、相乗り等の規制緩和に向けて動いており、構想していた事業の追い風となりました。

株式会社NearMe 代表取締役社長 高原幸一郎氏
株式会社NearMe 代表取締役社長 高原幸一郎氏

石野:タクシー会社の視点では、相乗りはどのように捉えられているのでしょうか。

高原:タクシー業界は過去30年間成長しておらず、市場規模もドライバーの数も減少が続いています。また、走行時間中乗客が乗っている割合を示す「実車率」は40%程度で、かつ乗客のほとんどが1名というのが現実です。タクシーはまだまだキャパシティ、スペースを活用する余地があり、業界としてはそれに対する打ち手として相乗りを視野に入れていました。

 ただ、実際に相乗りのマッチングを開始しようとしても、普段タクシーに乗っている方たちに「シェア」の概念がないため、まずは相乗りについての認知を広めなければなりません。多くの方に使っていただけるサービスに落とし込む上で、そこが大きな障壁となりました。そこでまずは空港送迎に絞ったスマートシャトルサービス「nearMe.Airport(ニアミー エアポート)」として展開することにします。

石野:実際に空港送迎ですごく伸びて、知名度も高まりましたよね。

高原:そうですね。現在は主要8空港を含む全国12の空港でサービスを提供しており、多くの方に使っていただいています。また、この仕組みを横展開してゴルフ場送迎サービスの「nearMe.Golf(ニアミー ゴルフ)」、東京都中央区、千代田区、港区、江東区と利用されやすいエリアからスタートした「nearMe.Town(ニアミー タウン)」などを展開しています。

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この記事の著者

梶川 元貴(Biz/Zine編集部)(カジカワ ゲンキ)

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