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サービスデザインの源流と未来―IoTによるサービス・エンタングルメントとは?

慶應義塾大学経済学部教授 武山政直 氏 講演レポート

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 5月30日、人間中心設計推進機構主催で「HCD-Net forum 2015〜HCDの明日-これまでの10年、これからの10年-」が開催された。基調パネルディスカッション2の「これからのHCD/UX: サービスとイノベーション」では、「サービスデザインのこれから」というタイトルで慶應義塾大学経済学部教授の武山政直氏が登壇した。武山氏がこれまでのサービスデザインの歴史を概観した上で、「これから」について自身の試論を展開した。HCD-Net forum 2015のレポート記事前編はこちら。

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マーケティングを起源とし「デザインの二つの潮流」と混ざり合い発展する

 今でこそ、「サービスデザイン」という言葉は耳にする機会が増えたが、歴史の浅いサービスデザインという分野はもともと、学術領域、ビジネス領域のそれぞれを起源としながら、周辺の領域とさまざまな相互作用を繰り返しながら発展してきた。その周辺領域を取り込み、混ざり合い発展していくという性格は今なお変わらない。サービスデザインのこれまでと現状、そして、これからについての試論を慶應義塾大学経済学部教授である武山氏が語った。

 普段、経済学部にてマーケティングやサービスデザインについて産学協同で実践的なプロジェクトを行う武山氏。経済学とサービスデザインというのは一見少し離れた領域に見えるが、その根幹において、深い関係にあるという。

もともとは、サービスデザインはデザインの領域から始まった概念ではなくて、マーケティングの領域で始まったものなんです。当時のシティバンク副社長Lynn Shostackがビジネスジャーナルに「サービスにもデザインが必要だ」と語ったところに端を発します。

 米国経済が「ものづくりからサービスづくり」に転換していく中、Shostackは製品開発に用いられてきた工学的な設計や管理の方法をサービスの立ち上げにも応用していくという形で、サービスブループリントなどの設計手法を生み出していった。

その後インタラクションデザインをやっている教育者やデザイナーが中心となって、デザイン領域でいう「人間中心設計」の流れの中にサービスデザインの考え方を当てはめていった。モノやヒト、道具や場所などを含んだ複合的なインタラクションを「ユーザー」と「サービス提供者」、双方の視点で総合的にデザインしていく、そのような考え方を持つグループを中心にして「サービスデザイン」という考え方が世の中に広まっていきました。

 同時に、特にヨーロッパで、公共サービスの領域でもサービスデザインを盛り上げていく動きがあった。

「公共サービスを、これから持続可能な社会をつくっていくために、どのように改善、改革していかなければならないのか?」

「どうやって生活者のコミュニティと公共サービスの提供主体が協力して、市民と行政が、参加型で改善していくのか?」

このような2つの動きが代表するように、社会的問題にデザインのアプローチを応用していく点でも、サービスデザインへの期待が高まっていったのです。

 上記のように、マーケティングを起源として、「人間中心設計」と「公共サービスを改善する参加型デザイン」の二つの潮流が混ざり合い、サービスデザインの需要が生まれ、拡大していった、と武山氏は語る。

「マーケティング」と「デザイン」という二つの起源が混ざり合う「サービスデザイン」図1. マーケティングを起源とし、デザインの2つの潮流が混ざり合う「サービスデザイン」

この二つの動きが混ざり合う形でサービスデザインは学術的にも実践的にも発展していきます。その後、このような動きを世の中に広めていこうということで、SDN ( service design network )という国際的な機関ができ、だいたい世界中の20カ国ぐらいに支部ができ、今日も広がっていっている状況です。

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