仕事をリデザインするための4つのプロセス
働き方改革への掛け声はコロナ禍以前からありましたが、先進企業では成果が出た施策もあったものの、日本企業全体での取り組みとはなっていませんでした。2020年に入り、今にもつづくコロナ禍に突入し、半ば強制的に働き方を変えざるを得なくなりました。3年弱が経過した現在、いくつかの行動パターンが採用・検証され、新しい働き方の物語が紡ぎ出されようとしています。
本書では企業が「新しい働き方のデザイン」を行っていく際のプロセスを以下のように提唱しています。本稿ではこの4つのプロセスのうち「1:理解する」や「2:新たに構想する」から、いくつかのポイントを紹介していきます。
本書が非常に秀逸なのが「自社ならではの新しい働き方」をデザインすることを目的としている点です。その最初のプロセスが「1:理解する」です。企業で新しい働き方をデザインするプロセスの出発点を以下のように定義しています。
「社内のさまざまな職種、自社で生産性を生み出すために必要な能力、社員のニーズと体験、社内の人的なネットワークと知識の流れを深く理解すること」
社内のさまざまな職種、自社で生産性を生み出すために必要な能力
まずは「生産性を生み出すために必要な能力」を把握します。そのためのアクションとして、以下3つのアクションを推奨しています。
- 社内の代表的な「職群(ジョブファミリー)」を少なくとも3つ以上選ぶ
- それぞれの職群を構成する主要業務を明らかにし、さらにそのなかで重要な業務を4~5つ選択する
- さらにその業務一つひとつの生産性を4つの要素ごとに明確化し、その職群の生産性を高めるための重要な要素を特定する
この3つのアクションを実行する際に活用できるのが、以下の「生産性の4つの要素」というフレームワークです。
私の所属する出版業界・出版社を例にすると、編集や営業、コーポレート部門などの職群を選択(1)し、編集部であればコンテンツ企画や取材、執筆などの業務を特定(2)し、最後に特定した業務を「活力・集中・連携・協力」という観点から良い点(+)や悪い点(-)を洗い出します(3)。