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イノベーションが“日常”になる時代の「目的工学」とは?

第2回:多摩大学大学院 教授/目的工学研究所 所長 紺野 登 氏

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イノベーションが“日常”になる時代の「手段と目的」

紺野 登

――ある目的で集まった複数のプレーヤーが何かを一緒に作り上げていくためには、一定の方法論が必要となりますね。

紺野:
 目的工学論的には、目的と手段の最適関係性を実践で見出す方法論が必要になります。たとえばリーン・スタートアップなどもその1つ。主観的・意味的な目的を縦軸に、横軸に実践的プロセスを据えて、この2つを行きつ戻りつしてイノベーションを起こしていく。そのために、デザイン思考、カスタマーバリュープロポジション、ビジネスモデルキャンバスなど、各種のツールがあるわけです。

――今は方法論ブームで、目的と手段の関係性を理解しないまま、手段が目的化している傾向があるかもしれませんね。

紺野:
 そうですね。いろんなメソッドを学んでその違いにこだわる人がいますが、はさみとペンチと同じで、場合によって使い途が違うだけです。
 目的があり、プロジェクトがあり、顧客を巻き込むような場があり、その中に技術者が入ってきて、といった目的の体系とともに進まない限り、何も起きません。とりあえずのテーマで漫然とワークショップをやり、そのときにわっと盛り上がってもその場で終わってしまいます。

――イノベーションやワークショップは本業ではない、たまに楽しくやるものといった思い込みはありそうですね。

紺野:
 「土日にやるか!」みたいなね(笑)。最近ワークショップ疲れ、のような声も耳にします。極論すればワークショップからはイノベーションは起きない。ワークショップはイノベーションのための準備の場です。今後は、企業がイノベーションを勤務時間に仕事としてやっていかなければならない時代になります。急にはできないので、現業Aとイノベーション事業Xを両輪に持ち、Aの生み出す利益を使いながら、いずれはXを現業とする。そのためには、社会の現実に対する強い共感力を持ち、途中で折れないように、この目的は本当に大切なんだと言えるよう、目的をはっきりさせることが必要でしょう。

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