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「イノベーターシップ」による事業創造

「データを駆使する経営の時代」にこそリーダーに求められる「未来を想起する力」

第5回:多摩大学大学院 萩原雅之 客員教授

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 急速な技術の進歩によって、従来では想像できないような膨大なデータを収集し、容易に分析できる時代になった。自然と企業経営にもデータの利活用が期待されるが、その恩恵を十分に享受するには、人的スキルはもちろん、組織全体での文化・風土づくりが欠かせない。そう指摘するのは、ビッグデータを用いたCRM分析事業を展開するトランスコスモス・アナリティクスで、副社長を務める、多摩大学大学院 客員教授の萩原雅之氏。日経リサーチやリクルートリサーチなどで多くのデータ分析に携わり、多くのビジネスリーダーや経営層と接してきた。その経験をもとに、データを経営に活用できる組織のあり方、リーダーに求められる“データに対する感性や知識”についてお話しいただいた。

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データ経営を可能にする「テクノロジーの進化」と「経営スピードの高速化」

――「データ経営」という言葉に象徴されるように、「データ活用がビジネスの成否を決する」と言われています。しかし、以前からデータ活用は経営にとって重要事項であることは違いありません。どのような部分がどのように変化しているのでしょうか。

萩原:
 米国ガートナー社のモデルを借りれば、データ分析は、データから今何が起きているのか(記述的分析)、なぜ起こったのか(診断的分析)、次に何が起きるのか(予測的分析)、どう対処すべきか(処方的分析)と進めていきます。段階的に難易度は上がり、価値も上がりますが、いずれも「見えないものを可視化する」ことが重要な目的です。こうしたデータ分析の考え方は、今も昔も、マーケティングでも経営でも基本的には変わりません。医療、気象、景気などあらゆる分野にも適用できるプロセスです。

アナリティクスの4段階Copyright 2014. Masashi Hagihara

 それがなぜ、今「データ経営」として注目されているのか。最も分かりやすいのが、技術の変化でしょう。データを取得するPOSやSNS、センサー、ウェアラブルデバイスなど、データが取得できる端末やメディアが多様化し、データ量が飛躍的に増大しました。そして、ストレージやクラウドなどデータの格納場所の進化や、オープンデータ、Data Exchange、DMP(Data Management Platform)といったデータの共有・一元化の場の充実、そして分析結果を迅速に理解するためのTableauのようなBIツールの充実など、データ収集・格納・分析・活用の全方位で技術革新が進んでいます。膨大なビッグデータを迅速に分析し、活用できる環境が整いつつあるわけです。

 こうした技術の進化によって、データ分析の目的や手法は大きく変化しています。たとえば、広告の効果測定や新製品の顧客満足度調査、経営状況の判断などは、分析の粒度が細かくなってきました。かつては1年や半年ごとのサイクルでの施策に対する評価が主な目的でしたが、今や短期間もしくはオンタイムでのデータ収集・分析を行い、その結果をもとにチューニングしていくことが目的になりつつあります。新製品に対する印象データは毎週上がってきますし、売り上げ収支なども毎月や毎週はもちろん、デイリーのところさえ増えています。

 当然ながら、こうした技術の進化の背景には、ビジネス・経営側における大きなニーズと期待があります。かつてのように1年かけて溜めたデータを分析し、数年後を予測して計画を立てて遂行するというのでは、現在の変化に対応できません。可能な限り「今」を把握し、変化を予測しながら柔軟にビジネスや組織を対応させていく必要があります。テクノロジーはそのニーズに応えてきたわけです。

 

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マーケティング業界に学ぶ、デジタルとリアルの「データ融合」と「経営への活用」

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