女性のデリケートゾーントータルケアブランド「明日 わたしは柿の木にのぼる」を企画・運営する陽と人(ひとびと)は、ライフサカスとの協業のもと、令和4年度経済産業省「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」の採択事業として、フェムテックの切り口から企業・自治体が組織のD&I促進やイノベーションの創出につなげるための、対話形式のアクティブラーニング型研修「働くみんなのヘルシー・プログラム」実証事業を2022年12月から開始した。
同研修は、月経痛・PMS・更年期など「まわりに共有しづらい女性の身体特有の悩み」を知り理解することで、「職場のあの人はどうしてこんな事をするのか?」と思ってしまう背景が理解出来ずに引きおこる職場のモヤモヤを解消する糸口を見つけ、多様性の促進やイノベーションの創出につなげるプログラムだという。
また、実証事業は群馬大学 大学院保健学研究科准教授の恩幣 宏美氏と共に、第三者評価を測定し結果を検証していくという。検証結果は、2023年2月頃の公表を予定すると共に、D&I促進やイノベーションの創出を目指し、今後の活動内容にも応用していく予定だとしている。
同プロジェクトでは、組織の経営者や人事担当者、また当事者である女性だけでなくすべての従業員などに向け、組織や個人の中にあるアンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)に気づき、D&Iの促進やイノベーションのきっかけにつなげることを目的とした研修を企画作成。加えて、「人材多様化による企業価値の向上」や「地方創生」などイノベーションの創出につながっていくことも目指すと述べている。
「あの人はなぜあんなことするのか」を考えアウトプットする「対話型モヤモヤワークショップ」
受講後の行動変容をより強化するため、一方向インプット型のセミナー形式ではなく、悩みを持つ当事者の気持ちを参加者自身が考えながらアウトプットしていくワークなど、「対話型」のアクティブラーニング形式を取り入れたという。
相手の背景を理解するためのヒントとして体に関する知識を手にし、気持ちを対話することで多面的な理解と行動を促すとしている。
課題やニーズに応じた研修パターン
企業・自治体の多様なニーズに対応できるよう、①経営・人事視点でD&Iを捉え直す「組織の変容編」、②セルフケア能力の向上を測る「当事者の変容編」、③自社・地域の資源から事業創造を目指す「イノベーション編」といった3つのプログラムパターンを作成。企業・自治体のニーズに応じて選べるという。
研修内でのフェムテックアイテム展示
今回、東京や大阪にもフェムテック専門店を構えるfermataの協力のもと、デリケートゾーンケアから、生理用ショーツ、月経カップなどのフェムテックアイテム製品を、各実証先で展示することとなった。
女性だけでなく男性も一緒にフェムテック商品を直接手に取って見ることで、より「女性の健康課題」をリアルに感じ、ワクワク楽しく行動変容につながることを目指すという。
参加者からの感想としては以下のような声があったという。
- まず男性の知識が足りない。それだけでなく、女性同士でも分かり合えない、言い合えないのではないかと思った(受講者男性)
- その人の性格なのでは?と思っていたけれど、女性特有の背景があったのではないかと気づいた。しかし、その先どう解決すればいいのか?が本当の課題だと思っている(受講者男性)
- 女性としても、これからの世代に同じ思いはさせたくない。でも、「私たちの時はこうだった。がんばれ」という人もいて、その人たちをどうするかに対する解がまだ見つからない(受講者女性)
- 「誰もが健康課題を持っていることを理解し、お互い様精神を持って働ける環境を作る」。男性社員にも健康課題はあるのではないか。伝えづらい、共有しづらいこともあると思うので、それぞれの状況を共有でいる組織、環境にしていく必要があると感じた(受講者男性)
プログラム実施対象団体(全8団体)は以下のとおり。
①経営・人事視点でD&Iを捉え直す「組織の変容編」
- 長野県佐久市:2022年12月23日:実施済み
- 浜松いわた信用金庫:2023年1月12日:実施済み
- 富山県庁:2023年1月23日
- 群馬県安中市:2023年1月25日 午前
- Zホールディングス:2023年1月30日
- ライオン:2023年2月6日 午後
②セルフケア能力の向上を測る「当事者の変容編」
- 群馬県安中市:2023年1月25日 午後
- カゴメ:2023年2月6日 午前
③自社・地域の資源から事業創造を目指す「イノベーション編」
- 福島県鮫川村:2023年2月3日