星野リゾートの成長と危機
星野リゾートはファミリー企業であり、星野佳路氏は4代目にあたる。1991年より経営を担っており、バブル崩壊後に旅館・ホテル市場が飽和状態となる中、「運営特化戦略」をとってきた。国内のリゾート開発業者のほとんどが開発・所有・運営の3つを手がけている中、星野リゾートは運営に特化し、投資家やオーナーが開発・所有しているホテルの運営を担っているのだ。運営に特化することで、ホテルや旅館を所有・開発する投資家やオーナーとの調整が多くある一方で、企業として資産となるものを所有しないことでバランスシートを軽くし、成長スピードを加速させるというメリットを得た。実際に星野リゾートは、現在にいたるまで運営拠点数と売り上げを伸ばしてきた。
リーマンショック後は、長期的なパートナーを探すため、2013年に星野リゾート・リート投資法人を設立。63施設のうち23施設(2023年2月現在)を所有し、長期的に相乗効果を高め合える経営組織としてパートナーシップを築き、同法人の運用高は伸び続けているという。
これまでリーマンショック、東日本大震災と数々の危機を乗り越えてきたが、今回のコロナ禍による影響が最大であったと星野氏はいう。ただ、このコロナ禍において第3波までは影響を受けたものの、第4波以降はワクチンの普及やマイクロツーリズムなどの施策によって、客室予約数は安定した。安定化につながった具体的な施策として、マイクロツーリズムのほか、大胆なシステム投資を挙げている。