ガートナージャパンは、日本企業がデータとアナリティクス(D&A)で成功するために欠かせない役割を発表した。
日本企業のデータ利活用においては、取り組む課題や目標が明確ではないにもかかわらず、何かしらの外部リソースや最新テクノロジを採用する前提で「選定作業」を繰り返しているケースが多く見られるという。
同社のシニア ディレクター アナリストである一志 達也氏は、「D&Aのリーダーは、ビジネス上の課題解決に貢献し、成果を得ることを目的や目標にして、戦略的に取り組む必要がありますが、そのためにはプロフェッショナルで構成された強力なチームを作り上げなくてはなりません」と述べている。
強力なチームを編成するには、さまざまなスキルと経験を持つ人材を確保し、明確な役割を割り当てた上で、相乗効果で総合力を高める必要があるという。現代的なD&Aの取り組みにおいて、必要不可欠な役割は以下の通りだとしている。
- CDO(最高データ責任者):経営層の一員として、経営戦略とD&A戦略を結び付け、取り組みを率いる。最高アナリティクス責任者(CAO)、最高データ/アナリティクス責任者(CDAO)、最高デジタル情報責任者(CDIO)などの役職もある
- D&Aマネージャー:成果を測定し、目標を管理する。D&Aのセンター・オブ・エクセレンス(COE)を管理する責任を担う
- D&Aトランスレーター:ビジネス課題に対する施策の仮説を立て、分析に基づいて、具体的な行動案を考える。技術的知識とビジネス知識を組み合わせて、社内でのD&Aの採用やリテラシーを推進する
- アナリティクス/BI開発者:企業のアナリティクス/BI機能を構築し、分析してシナリオ/ストーリーを作る
- データ・アーキテクト:各種ソースから指標やデータセットを設計する。データ・モデルの「オーナー」
- データ・エンジニア:データ利用者が適切なデータを利用できるよう、各種ソースから集めたデータを分析者が求める形に加工する
- 倫理担当者:D&Aの取り組みにおいて、ガバナンスや倫理的見地からの監督を担当する。データの使用による意図せぬ結果を予測し、行き過ぎた洞察を得ないよう監視する
- データ・スチュワード:データの利用部門におけるポリシー適用(ルールに基づくデータ品質の確保や適正利用の促進)を担う
- データ・コンシェルジュ:ビジネスの目的に沿った、分析に適したデータの探求、調達、活用支援を行う
企業によって状況が異なるため、チームに最低限必要な人数は変わってくる。D&Aのリーダーは、組織として求められる期待事項を経営層に確認し、それを踏まえてチームの布陣を描き出す必要があるという。今すぐ、半年後、来年、再来年といったロードマップでの目指す成果、影響を及ぼす範囲、それに伴って拡大するチーム像を描き、条件がある場合は、それも詰めた上で経営層や人事部門などの合意を得て、描いた以上の成果を得られるようにチームを作り率いていくことが求められるとしている。