「藤田さん 新規事業やりたいです!」
サイバーエージェント(以下CA)の2015年度新卒社員である宇野想一郎氏は、入社前に内定者アルバイトとして多くのサイバーエージェントの子会社に参画していた。そんな中「自分も子会社の経営に関わりたい」と思うようになる。そこで宇野氏は大胆な行動に出た。
実際に社長の藤田にFacebookメッセージで、新規事業やりたいです!と送りました。その意気込みを買われ、『じゃあぜひ事業案を持ってこい』と言われました。その後、藤田とのやりとりを通じ事業案を練り、4月に会社を設立しました。
現在、宇野氏は22歳という若さで、動画関連事業会社Unifaceの社長を務めている。
抜擢人事の前提は「意思表明ができる環境」
22歳の新入社員が子会社の社長を任せられる。他の東証一部上場企業ではまず有りえないであろう。そもそも社長とFacebookで友達になり、メッセージを送る内定者がいる企業など他にあるだろうか。CA人材開発本部長の曽山氏は会社の人事施策の前提である「意思表明ができる環境」について語った。
社員個々人が思っている意思を、会社の中でどれだけ表明できる環境があるのか。自分がやりたいですと言える風土がまずどれだけあるのかによって、社員の主体性が変わります。なので、手をあげて意思が言えるような状況をつくることをとても大事にしています。
CAでは起こしたい新規事業のビジネスモデルが優れているか否かではなく、まず「やりたい!」という意思を聞き、受け止めてあげることが重要だとされている。実際に宇野氏のメッセージに対し、藤田社長は「いいね、なんか提案してみて」と返信をしたという。一般的に大企業では、意思を表明した時点で潰してしまう会社が多いと曽山氏は語る。
『何かやりたい!』と言っても、『お前にできるわけがない』と言い、潰してしまうケースがよくありますが、リーダーシップの開発のポイントは、どれだけ意思表明をさせられるかです。
「意思表明ができる環境」の整備は新規事業を生み出すのに加え、次世代リーダーを育てる上で重要なポイントだと言えるだろう。