「LinkedIn × オンライン学習サービス」が象徴する、キャリア形成と学びの未来

EdTechの新潮流とスクー森氏が考える「学びの未来」

 テクノロジーにより教育にイノベーションを起こすムーブメント「EdTech」。今年4月、ビジネスSNSの「LinkedIn(リンクトイン)」は、世界最大級のオンラインビデオ学習サイト「lynda.com(リンダドットコム)」を買収するなど、EdTechの波は、もはや教育機関にだけではなくビジネスの世界にも押し寄せている。7月16日、EdTech分野の第一人者であるデジタルハリウッド大学大学院 教授、佐藤昌宏氏がモデレーターを務め、パネルディスカッション「EdTechイノベーションがもたらすこれからのキャリア形成~キャリアSNSとMOOCsから見るビジネスパーソンの未来~」が行われた。パネリストに株式会社スクー代表取締役社長の森健志郎氏、そしてLinkedIn 日本オフィス代表代行、杉本隆一郎氏。語られたのは、ビジネスSNSとオンライン学習サービスの連携によるキャリア形成の未来。ビジネスと教育が交わるとき、果たして一体どのようなイノベーションが起こるのだろうか。

[公開日]

[語り手] 佐藤 昌宏 森 健志郎 杉本 隆一郎 [取材・構成] 土屋 亘 [編] BizZine編集部

[タグ] タレントマネジメント 人材教育 事業開発 社会・公共 EdTech

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学びは「提供者主体」から「学習者主体」へ

 「学びが個人で手に入る時代になってきた」こう語るのは、EdTech分野のトップランナーである佐藤昌宏教授。今日、インターネットの発展によりオンライン学習サービスが進化してきている。つまり、何の授業を、どこで、いつ受けるのかが柔軟になってきているのだ。これにより、主語が教育機関や先生、親や省庁といった、提供者側である「教育」から、学習者自体が主役となる「学び」へと変化しつつあるという。

 さらにこの変化は、ビジネスにも深く関わってくると佐藤教授は語る。

佐藤 昌宏デジタルハリウッド大学大学院 教授
佐藤 昌宏 氏

主役が「提供者側」から「学習者」になってくるのが、教育の大きなトレンドになると私は思っています。これがEdTechイノベーションの本質であり、教育機関だけでなく、企業の育成や人事採用というものも変化すると認識しています。

企業の“一方通行”な研修

 オンライン動画学習サービスを展開するスクーの代表取締役社長・森健志郎氏は、まさにビジネスパーソンの「教育の主役」を提供者から学習者へと変革しようとしている。新卒でリクルートに入社した森氏は、2年目の研修で受けたe-ラーニングの研修動画に対し違和感と可能性を感じ、その後スクーを立ち上げた。

森 健志郎株式会社スクー 代表取締役
森 健志郎 氏

講師の方がカメラ目線で、延々とロジカルシンキングについて10時間語る動画だったんです。企業の人材教育では、あくまで「ユーザーが自ら学びたいと考えること」よりも、「企業が何を学ばせるべきか」というところが主語になっています。しかし少しずつその流れは変わってきています。

 しかし、社員が学びたいと考えることと企業が教えたいことの間には、当然ギャップも生まれる。業務内容の多様化が進む現在では、それはなおさらである。完全に「受け身」のかたちで研修や学習を行うのではなく、バランスをとることが重要だとLinkedInの杉本隆一郎氏は語る。

杉本 隆一郎リンクトイン・ジャパン 日本オフィス代表代行
杉本 隆一郎 氏

企業が研修を行うときは、ある程度のボリュームを費用対効果の面でもを意識しないといけないので、個々のニーズに対応しきれなかった。しかし、インターネットで学習提供が柔軟に行われようになったことを考えれば、企業が提供する学びも、その点を考慮しなければならない。「個人の軸でやる学び」と「組織全体でやる研修」、うまくバランスをとるべきだと考えています。

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