日立製作所(以下、日立)と東京大学は、同大学が設立した「デジタルオブザーバトリ研究推進機構」において、国や企業の活動におけるレジリエンスの強化に向けた共同研究を開始する。
最初の取り組みとして、近年災害やパンデミックなどの影響で分断のリスクが顕在化した、サプライチェーンのレジリエンス向上に向けた研究を開始。多様な生産・流通・サービスに関する統計情報や、ニュース・ソーシャルメディア情報などのオープンなデータと、企業の持つクローズドなデータとをリアルタイムで収集・蓄積・関連付け・利活用する。
これにより、それぞれの社会活動の状況や材料・部品不足などのリスクの観測や分析を可能とし、これを活用することで、代替サプライヤーの確保や在庫調整などの施策につなげる検証を行っていくという。
同機構は、データを収集・蓄積するプラットフォーム(以下、基盤)に関する研究グループに加え、同基盤のデータを利活用し、社会・経済活動に影響を及ぼすリスクの把握や影響範囲を特定するデータ利活用に関する研究グループから構成される。
東京大学は、オープンなデータの収集、およびそれらのデータを活用したレジリエンスに関わるリスク分析に取り組む。日立は、同機構の基盤に関する研究グループを中心に、組織間のクローズドなデータの収集・蓄積・関連付けに取り組むという。
また、両者は共同で、収集・蓄積されたデータと分析されたリスクを関連付けることで、人が想定しきれないリスクの事前想定・対策を可能にし、レジリエンス強化を目指すとしている。
東京大学は今後、同機構の活動を通じた社会・経済活動のデータを収集・蓄積するプラットフォームの構築およびデータに基づく研究の推進により、ESGに関連するリスクの早期発見・回避ならびに社会課題の解決を可能とすることを目指す。
日立は、同機構を通じた産官学のステークホルダーとの協創を通じて得た知見や同基盤技術を活用して、リスクマネジメントの強化を図る。加えて、日立グループやパートナーでの技術の適用・実証を通じて、同社のTWX-21をはじめとしたサプライチェーンリスク分析・対策ソリューションや、データマネジメントサービスを強化していくという。