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「人的資本開示」実務の疑問点

なぜ「ISO30414」に準拠した人的資本開示が国内でほとんど見られないのか?日本での意義を考える

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 2018年12月にISO(国際標準化機構)によって発行された、人的資本に関する包括的なガイドライン規格である「ISO30414」。しかしながら、国内におけるほとんどの人的資本の開示事例では、このガイドラインが参照されているとは言えない実態があります。本稿では、ISO30414の内容を振り返りつつ、その意義を考察します。

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最新の人的資本開示にほとんど出てこない「ISO30414」

 ISO30414は、「人的資本の包括的な指標」として2018年12月に発表されました。人材業界の一部にとどまる話題であった可能性はありますが、当時、それはまさに「人的資本経営の指標」であると大々的にブランディングされ、その後の経営における人的資本の評価と扱いにおいて、大変重要性が高いのだというイメージで論じられました。

 もちろん、この期待は決して根拠のないものではありません。ISO30414は、ISOによって発行された「人的資本に関する包括的なガイドライン規格」であるとされたものでした。

 しかしながら、現在の国内における2023年3月決算の人的資本開示を見渡す限り、ISO30414に準拠した考え方や指標の採用がされている開示事例は、ほとんど見当たらないと言ってよいでしょう。

 また、「優れた開示を行っている」と評価されている事例においても、その評価されているポイントは、少なくともISO30414のフレームワークとの関連性は少ないと言えます。この事実は、一見するとISO30414の価値を疑問視するようにも受け取れます。

 では、いったいISO30414とは何であったのか。いまだに人的資本経営の話題の中で「ISO30414」が話題に出ることはしばしばありますが、それはなぜかということも含め、その意義を改めて考察する必要があると思います。

 筆者が「ISO30414とは何なのか」を理解する上で重要なポイントだと考える点は以下の通りです。

  1. ISO30414は部分的に活用する以外の方法だと、国内での人的資本情報開示とマッチしづらい
  2. ISO30414はガイドライン規格だが、「全体として認証」されるイメージが形成されておりズレがある
  3. グローバルとの関わりが深い企業では、ISO30414を重視する意味が存在する

 一つひとつについて見ていく前に、まずはISO30414の概略を整理します。

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この記事の著者

松井 勇策(マツイ ユウサク)

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