日本アイ・ビー・エム(日本IBM)は、金融業界のユーザーのデータ活用を推進していくため、データ利活用に必要な一連の業務を包括的に提供するSaaS型データ利活用プラットフォーム「IBM Consulting Data Utilization Platform for Financial Services(以下、DUP)」を提供開始した。
DUPは、金融DX実現のための包括的システムアーキテクチャー「オープン・ソーシング戦略フレームワーク 」と、昨年11月に発表した金融機関の経営戦略実現を支援する「金融次世代勘定系ソリューション戦略」のデータ利活用サービスを支え、データ分析基盤とコミュニティーを提供するもの。経営レベルの課題から、顧客の行動を分析し成約につながりやすいアプローチを予測するEBM(イベント・ベースト・マーケティング)の活用まで、金融機関のデータ活用を包括的に支援するとしている。
DUPは、実績のある分析モデルとそのモデルを実行するために必要なデータ処理プロセスを搭載したデータ分析基盤を提供し、データサイエンティストがいなくても、高度な分析を実現することが可能だという。あるユーザーとの実証では、DUPが標準で提供している分析モデルと連合学習を利用し、より付加価値の高いモデルを構築することで、DUP導入前と比較して特定の商品における成約顧客の獲得力が推定約1.5〜2.0倍となることが確認できたと述べている。
また、DUPのユーザー向けにユーザー・コミュニティーを創設し、参加者同士のデータ利活用のナレッジ共有や、IBMのデータサイティストやコンサルタントのスキル共有を促進し、データ利活用活動の継続や高度化を推進していくという。
連合学習とは
今回、DUPが提供する連合学習は、各社データを共有せずにモデル構築が可能な技術であり、データの秘匿性を担保した上で付加価値の高いモデルを作る技術。ユースケースとしては、自行の分析モデルと他行の分析モデルの掛け合わせや、将来的には他業態の分析モデルと掛け合わせることで、自行だけでは実現できないデータに基づく新たな利活用価値、ビジネス効果を見出すことが可能だという。
この連合学習のビジネス効果の仮説を確認するために、広島銀行をはじめとする大手地方銀行の協力のもと、分析モデルの一つであるカードローン獲得モデルを用いた概念検証を実施。検証の結果、単一行のデータで構築したモデルのみでは捕捉できない成約顧客を、連合学習モデルの結果を活用して獲得できる可能性を確認できたとしている。