“まちなかの力”がベンチャーを生み出す、福岡市の中島さん

 高島市長の強力なリーダーシップにより「スタートアップ都市」を宣言した福岡市。国家戦略特区でもあり、創業特区として多くのベンチャー企業を生み出している。だが、今の福岡の活性化の原因は、必ずしも行政主導のトップダウンの政策だけではない。「福岡の何がベンチャー人を魅了するのか」を、福岡市の創業支援係長の中島賢一氏に聞いた。

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[取材・構成] BizZine編集部

[タグ] スタートアップ ベンチャー 社会・公共

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スタートアップ都市・福岡の基底は文化

中島賢一福岡市経済観光文化局 創業・立地推進部 創業・大学連携課 創業支援係長 中島賢一 氏

 今、福岡はスタートアップベンチャーで盛り上がってきてます。地方創生ブームやスタートアップ都市として宣言したという流れはもちろんあるのですが、とくにそういうテーマがあって、行政の指導があったから盛り上がったというわけではないと思っています。やっぱり本質は、福岡市特有の文化だと思います。シリコンバレーというのもそういったベンチャーとかスタートアップという言葉でエコシステムが生まれているわけですよね。起業して成長してそれで成功したら、その成功した人が次の種を蒔いていく。これは別にそういうふうなシステムをつくったというよりは、自然に醸成された文化だといえます。

 この文化があるからシリコンバレーのように、必要な人、必要なもの、情報が集まり、それらがうまく組み合わされて、チャンスをつかめる地域になっていると思うんですね。ですから、私たちはその文化を育てていく必要があると思うんです。

“支店経済”を超えて

 もちろん若者が大変多い町であることも文化には大きく根ざしています。1つは福岡っていうのは「地方都市」として、独自性があります。昔から福岡は“支店経済、支社経済”って言われていました。九州の中心地として中央官庁も出先機関を置いているし、大企業のほとんどの支店があります。つまり中央からの仕事を受託する形のものが多かった。でも福岡はそういう支店・支社経済の範疇にはおさまらないところがあるんです。なぜなら、福岡はインターネットビジネスにかなり早くから皆さん取り組んできた会社が多いからです。具体的には、通販会社がすごく多い。「通販王国」と言われるぐらいです。通販とインターネットって、とてもシナジーがあるのです。

 こうした背景で、インターネットに関する技術者だとか、クリエイターとか、こういった人たちが育ってきていた。もう1つは、これはたまたまなのかもしれませんけど、ゲームのジャンルにおいてもシステムソフトっていうPCの時代の老舗ソフトウェア会社があったことも大きい。

 大きな会社があり、全国区で商品が売れていると、それだけ人は集まる。ですから、ゲームのクリエイターであるとか、それを目指すような人たちっていうのはやっぱりいい会社があると学校もそういうところに送り出そうとする。そうすると、自然とそういう若い層が集まってきます。

行政が自らコミュニティの中へ

 福岡市ではベンチャーやエンジニア、Web関連のコミュニティ化が非常に進んでいることも大きい。普通、行政ってけっこう厳しく見られたりしがち。何もしてくれないとか。福岡市の場合、僕たち行政のメンバーがコミュニティの中にはいっていくことで、おたがいの心が通じ合うみたいな関係をつくってこれたと思っています。

 これはとくに堅苦しく発表会しましょうとか、イベントに参加しましょうというのではなく、自然に集まり企画が生まれてきているのです。スタートアップ都市というビジョンを打ち出してからも、この姿勢は変わりません。

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