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「通勤用EV」で新たな市場を切り拓く──Hakobune高橋氏が目指す、サステナブルなまちづくり

第13回 ゲスト:Hakobune 高橋雅典氏

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日本におけるEVの課題

元垣内広毅氏(以下、元垣内):EVを社会の電力源として広め、社会のエネルギーマネジメントに貢献しようという御社の事業を興味深く見ていました。まず、簡単に御社の概要から教えていただけますか。

高橋雅典氏(以下、高橋):Hakobuneは2023年4月に設立した会社で、現在は通勤用EVと職場に設置する充電設備をサブスクリプションで提供しています。私は元々日産自動車で働いていたのですが、2022年に住友商事に移り、そこで新規事業としてこの事業を起案、Hakobuneとして会社化するに至っています。

 「マイカーをEV化してサブスク制度を導入し、充電設備もセットで提供する」ことは、Hakobuneが目指す世界観へのファーストステップに過ぎず、究極の目標として「全国のどの街で暮らしても豊かに生きられる環境を整える」ことを目指しています。もっとも、これはあまりに壮大な夢で、私が生きているうちに叶えるのは不可能かもしれませんが、今取り組んでいるEVが、そうした未来につながってくれればと思っています。

 EVという分野において日本が今どういう状況にあるかというと、極めて悲観的にならざるを得ない状態です。2022年、世界のEV車両の新車販売台数は7800万台を突破しましたが、日本はこれにまったくキャッチアップできておらず、このままでは、これまでのように自動車産業の中核を担っていくことは、まず不可能なのが実情です。そこでHakobuneが新たなマーケットを創出し、自動車産業に携わる人々を支えることはもちろん、少しでも日本経済のベースを支える一助になれればと考えています。

株式会社Hakobune 代表取締役社長/CEO 高橋雅典氏
株式会社Hakobune 代表取締役社長/CEO 高橋雅典氏

元垣内:なるほど。確かに世界の情勢を見ても、EVは自動車産業の根幹に関わる重要な事業となるだろうと思います。日本におけるEVの課題は何があるのでしょうか。

高橋:日本でよく指摘されるEVの課題は、「充電インフラ」と「航続可能距離」の2点です。ただ、これは厳密には課題というよりも、「EVを経験したことのない人たちが課題だと思い込んでいるもの」なので、まずはその誤解を解消するのが先決といえます。また、長く日本経済が停滞してきたことで、ただでさえ原材料の高騰などから自動車が高級品になりつつある中、安心してEVに乗り換えられる環境づくりも欠かせません。

 そのためには、EVがいかに良いものであるかを啓発していくことも重要です。そこで私がよく言っているのは、「EVは車を“電池”として使えるようになる」ということです。たとえば太陽光発電の場合、晴れの日は日中に発電量が使用料を上回っても、曇りの日は使用量が発電量を上回ることもあるでしょう。そうすると通常であれば外部から電気を持ってこなければならないのですが、EVのバッテリーに電気を蓄えておけると、晴天時の発電分を曇りの日に使うことができますよね。私はEVを「可搬型蓄電池にタイヤが4つ付いているようなもの」だと表現しています。

元垣内:非常にわかりやすいですね。

高橋:定置型でももちろん蓄電できますが、EVであればそのエネルギーを使って移動もできる。それを使わない手はないわけです。

元垣内:おっしゃる通りだと思います。そのほうがサステナブルですしね。

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この記事の著者

友清 哲(トモキヨ サトシ)

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