ガートナージャパン(Gartner)は、開催中の「Gartner IT Symposium/Xpo 2023」において、日本におけるデジタル・ビジネスの最新状況を発表した。
この「デジタル」には、「IT・情報化」でなく、新たなテクノロジを用いた「既存事業の変革」「新事業開発」が含まれている。
Gartnerが2023年4月に日本企業のデジタル・ビジネスの取り組み状況について調査したところ、デジタル・ビジネス(「既存事業の変革」または「新事業開発」)を実現したと回答した企業の割合は24.0%となり、2017年調査時の割合(11.9%)から増加。実証実験やアイデア探索/ワークショップなどの取り組みも含めると、日本企業におけるIT部門の過半数がデジタル・ビジネスを目指して取り組んでいることがうかがえるという(図1参照)。
一方、2023年8月に実施した別の調査では、日本企業のデジタル化の成否に関して最も大きな影響を及ぼした要因について質問。その結果、上位3項目には「自社の経営判断/投資」(31.1%)、「自社の企業文化」(20.3%)、「自社のイノベーション組織/人材」(19.6%)が挙げられた(図2参照)。
テクノロジを用いた既存事業の変革や新事業開発を進める上で、企業が根本的に変えなければならない点や解決に向けた考慮点が次第に明らかになってきたという。
同社のバイス プレジデント アナリストである鈴木雅喜氏は、次のように述べている。
「デジタル・ビジネスの風向きは変わりつつあります。2024年以降はポストデジタル時代となり、これまで以上にトレンドがめまぐるしく変化し、より身近にテクノロジの影響が大きく及ぶでしょう。そこでは、AI、Web3、メタバースなどによる自律型ビジネスが現実味を帯び、生成AIなどの新しいテクノロジが進化、加速します。すべての企業がテクノロジ企業になるとともに、すべての部門がテクノロジを使いこなしていくトレンドも同時に進みます。すべての企業は、改めてこれまでを振り返り、戦略を見直した上で将来のビジネス拡大に向けてその実行力を発揮すべきです。この点を経営者が現実の話として理解し、自社の将来像を考慮した上で的確な投資判断を下せるか否か、さらにイノベーションを率いる人材、社内の環境を整えられるかどうかが鍵を握っています」