睡眠不足の本質的な解決には企業の変容が必要
大角知也氏(以下、大角):「睡眠」というと個人的な領域の事柄というイメージが強いですが、それをあえてtoB事業として展開しているのが、ネミエルの面白さだと感じます。この事業を立ち上げるまでの、松本さんのご経歴を教えてください。
松本光浩氏(以下、松本):私は元々、プロサッカー選手を目指すスポーツ少年でした。ところが、大学4年生になってプロで活躍するのは難しいと感じ、思い切ってサッカーから離れることにしたんです。
その時に同じくらい熱意を持って取り組んでいたものが睡眠研究でした。人を含めてほぼすべての生物が眠るにもかかわらず、そのメカニズムはほとんど解明されていないという不思議さに魅了されましたね。「自分がサッカーで大成できなかったのは、深夜のアルバイトなどで睡眠が不足していたことが一つの要因では」と考えると興味がますます深まり、スポーツ一筋の生活から心機一転、睡眠研究に打ち込みました。
大学卒業後は、睡眠関連商品をECで販売する会社に就職したものの、「睡眠を良くするには、関連商品を販売するよりも、個人の行動変容を促す方が本質的だろう」と考えて退社しました。ところが、ちょうどそのタイミングでコロナ禍に突入して当初の計画がほとんど実行できなくなり、アルバイトで生計を立てる日々が続きました。
大角:そこから、どのように事業をスタートしたのですか。
松本:「睡眠に詳しい人」という認知は徐々に取れるようになってきたので、自分のバックグラウンドであるスポーツと睡眠をかけ合わせた、アスリート向けの睡眠指導を始めました。しばらくして、「社会全体の睡眠を改善するには、ターゲットを広げなければ意味がない」と考えて一般人に指導対象を拡大しました。
大角:当初は個人向けの指導だったということですね。そこから企業向けのサービスに転換したのはなぜですか。
松本:個人への指導で改善できることには限界があると気づいたことがきっかけでした。指導すれば、睡眠の大切さはわかってもらえるのですが、たとえそれがわかっていても職場や仕事の影響で睡眠時間を確保できないという人が多かったんですよね。一般人の睡眠不足を本質的に解決するには、個人だけでなく企業の意識も変容させなければならないと感じて、BtoBサービスにピボットすることにしたんです。