エプソンは2026年3月13日、2035年を見据えた長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」および、その第一段階となる中期経営計画Phase1(2026~2028年度)を策定したと発表した。主な方針は、ROIC(投下資本利益率)を経営の規律とした資本最適配分、事業ポートフォリオの再設計、成長領域への資源集中である。
今回エプソンが策定した「ENGINEERED FUTURE 2035」は、変動が常態化する社会環境に対応し、技術を社会実装まで最適設計する「設計力」によって、社会価値と企業価値の双方を高めることを目指すものだ。同社は「省・小・精」の技術思想を基盤とし、精密技術を産業・社会の多様な現場に展開する方針を示している。
これに連動する中期経営計画Phase1では、これまで課題とされてきた成熟市場への依存や資源配分、資本効率について重点的に見直しを行う。2028年度にROIC8%の達成を目標と設定。固定費や資産効率の見直し、グローバルオペレーションとサプライチェーンの再設計、新興国での販売強化、価値型ビジネスおよびソリューションの拡充を推進し、収益基盤の変革を目指す。
これによって創出されたキャッシュは、成長領域への投資に集中する。具体的には、M&Aなどの戦略投資や、成長エンジンのプレシジョンイノベーション領域、インダストリアル&ロボティクスの成長領域に、3年間で合計2,800億円を投下する計画だ。投資判断や事業運営はROICを軸に進め、資本の最適配分を徹底する。
事業セグメントも再定義し、プレシジョンイノベーション(インクジェットソリューションズ、マイクロデバイス事業など)を中核成長エンジンとし、インダストリアル&ロボティクス(商業・産業プリンティング、ロボティクス事業)を次期成長領域と位置付ける。オフィス・ホームプリンティング、ビジュアル&ライフスタイル関連は安定的なキャッシュ創出基盤とする。
株主還元については、成長投資との両立を前提としつつ、株主資本配当率(DOE)3%を配当の下限と設定。加えて、機動的な自己株式取得による積極的な株主還元を進める方針を明確にした。
エプソンは今回のビジョンおよび中期計画を通じて、ROIC経営体制と実行力強化を図り、持続的な成長と企業価値の向上、そして2035年に向けた構造転換の確実な前進を目指す。
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