DXの成功には組織の変革が必要
変化の激しいVUCAの時代や、少子高齢化による生産年齢人口の減少が進行し、今までの人手に頼ったビジネスが限界を迎えつつある中で、DXは重要な役割を果たしています。
例えば、直近の営業売上データから最新のトレンドを導き出すことで、販売戦略の判断を早められるようになります。また、受信した内容に応じたデータの振り分けや次の作業指示は、短時間で確実に作業を進める業務効率化に寄与します。DXは、単なるデジタル技術の導入を意味するのではなく、今までのやり方そのものを変革することを意味します。
そして、その変革を成功させるためは、それを扱う人や組織全体の変革も必要です。これには新しいマネジメントスタイルの導入、それに合わせた組織構造の変革、従業員のスキルセットの更新などが含まれます。
どんなに素晴らしい仕組みやシステムを入れたとしても、それを扱う人や組織が扱い方を知らず、扱うためのスキルの習得に取り組まなければ、変革は進みません。変革が進まなければ、組織が現代のビジネス環境で生き残り続けることは難しいでしょう。
今回は、組織の変革を成功に導くためのマネジメント手法「チェンジマネジメント」を紹介しつつ、取り組む際のポイントも説明していきます。
なぜ組織変革マネジメントが必要なのか
チェンジマネジメントにおいては、組織が何のために変革を進めるのか、変革の推進者は誰なのか、変革の推進方法は何を用いるのかという、目標達成のための戦略と戦術が重要です。
また、変革を進めた先にあるビジョンを共有することも忘れてはなりません。人間の脳は「いつも同じ」を望むと言われています。防衛本能から分からないことを恐れ、無意識のうちに避けようとするからです。しかし、変革を進めた先に明るい未来や働きやすい組織があるならば、人は避けるのではなく、変革を受容するようになります。
変革が本当に進んでいるかを随時確認し、上手くいっていなければ別の方法を採るのか、あるいは止めるのか、決断をしていきましょう。確実に前に進めるのが、マネジメント担当であるDX推進者の役割です。さらに、取り組みとそれによる変化を、組織内事例として組織の全員に知ってもらうことも重要です。
変革とは、今までのものを変えて新しくすることです。そのため、変革に対する不安や抵抗は自然な反応であり、これを乗り越えるためには組織でリーダーシップを発揮しているスポンサーが重要な役割を果たします。スポンサーが変革を積極的にサポートし、模範を示すことで、従業員は新しいアプローチに適応しやすくなるのです。
ある企業では、コロナ禍初期の頃、オンライン会議を短期間で推進させるために、まずスポンサーである役員が属する役員会から導入を始めました。結果、抵抗を示していた中間管理層が、役員の活用を見て徐々に使い始め、一気に会社全体のオンライン会議の活用が進みました。DX推進には、まずそういったトップの姿勢が大切です。