TOPPANホールディングスは、シンガポールを中心に物流サプライチェーンマネジメントシステムの開発・販売を行っているKEYFIELDS社と株式譲渡契約を締結。TOPPANホールディングスは2024年2月にKEYFIELDSの株式を75%取得し、子会社化の手続きを完了する予定だと発表した。
この買収により、TOPPANグループは物流DX分野におけるサービスを強化し、日本およびASEAN市場で高まる物流倉庫のDX需要に対してサービス提供が可能になるという。今後、包括的な物流DXソリューションを構築し、新たなビジネスモデルの開発を進め、日本およびASEANでの物流DX事業拡大を実現するとしている。
TOPPANグループでは、グループ横断のDX推進をTOPPANデジタルが担い、注力事業の一つとして物流DX事業を牽引している。2021年6月には、デジタルピッキングシステム大手のアイオイ・システムがグループ傘下に入り、物流倉庫の運用支援サービスを提供。ものづくりから卸、小売、生活者に至るサプライチェーン全体のデジタル化を推進し、物流関連ではRFIDを活用したトレーサビリティシステムやデジタルピッキングなどのソリューションを拡充するとともに、5G、IoT時代のセンシングやAI・量子コンピューティング技術、ロボット技術の研究などにも取り組んでいるという。
KEYFIELDSは、物流サプライチェーンの各過程を管理するシステム、およびそれらをリンクすることによりサプライチェーンを包括的にマネジメントするシステム「iLOGON(アイログオン)」を提供している。同社は、政府機関や世界有数の多国籍企業によってソリューションプロバイダーとして選ばれており、また、シンガポール政府と連携しながら、物流業務をデジタル化する認定ソリューションである「iLOGON」を中堅・中小企業にも提供しているという。
KEYFIELDSの物流サプライチェーンマネジメントシステムには倉庫管理、トラック輸送管理、フレイトフォワーディング管理、コンテナ管理、コンテナヤード管理のシステムがあり、その中でも倉庫管理システムを核にしながら、シンガポールやインドネシア、タイ、ミャンマーにおいて、物流・製造・小売・ECなどの業界で顧客とノウハウを獲得。ERPなどの上位システムや倉庫内設備・ロボットとの連携実績も持つとしている。
TOPPANグループは、物流市場の成長に伴う人手不足などの課題をビジネスの機会と捉え、KEYFIELDSの子会社化の手続き完了後、両社の技術・ノウハウを融合し、日本およびASEAN市場における物流DX事業を拡大していくと述べている。
期待されるシナジー
クロスセルおよびサービス連携
KEYFIELDSのASEANにおける顧客ネットワークを活用し、アイオイ・システムのデジタルピッキングシステムを展開するとともに、アイオイ・システムのシンガポール法人とASEANの代理店ネットワークを活用したKEYFIELDSの倉庫管理システムの展開を進め、双方向のクロスセルでASEANの市場成長を取り込む。また、デジタルピッキングシステム+倉庫制御システム+倉庫管理システムを組み合わせた一体型モデルでの共同提案を推進するという。
倉庫向け物流ソリューションパッケージのビジネス開発(日本、ASEAN)
TOPPANデジタルの物流データ分析・活用支援サービス「LOGINECT(ロジネクト)」に、KEYFIELDSの倉庫管理システム・トラック輸送管理システムのデータ分析機能を追加し、新サービスを立ち上げるという。
また、KEYFIELDSの倉庫管理システムを日本向けに調整し、それを核にデジタルピッキングシステムやLOGINECTをはじめ各種物流DX商材との連携を行い、TOPPANの「倉庫DXソリューション」をパッケージ化することで、物流DXソリューション事業の基盤を強化するとしている。