味の素は、2024年1月に米国・シリコンバレーにコーポレートベンチャーキャピタル(以下、CVC)の拠点を新設した。同社はこれまで日本を拠点にCVCの活動を展開してきたが、同拠点設立により、スタートアップとのパートナリング戦略構築や先端イノベーション情報収集をグローバルに推進するという。
今回のCVCの米国拠点設立は、次世代事業創出を通じた成長戦略の実現に向け、同社が新組織として発足させたイノベーション戦略チームのグローバル展開の一環。同組織が米国において先端技術や革新的な事業を有するスタートアップなどの協業パートナー候補の選定、分析を進める上で、拠点をシリコンバレーに構えることが必要であると判断したとしている。
また同社は、同拠点と連携して米国ベンチャーキャピタルファンドのTranslink Capital(以下、Translink)が設立したファンドおよび低炭素プリント基板を開発・製造するスタートアップ企業のエレファンテックへの出資を行った。Translinkは、2006年に設立されたIT関連のスタートアップ企業向けに投資を行うベンチャーキャピタルで、米国やアジア諸国に拠点を持ち、スタートアップ企業とアジアの事業会社との業務提携支援にも力を入れているという。
エレファンテックは、プリント基板製造における水・資源・エネルギー・CO2排出を削減する技術を開発するスタートアップ企業。既存製法に比べてCO2排出を75%、水消費を95%削減できるインクジェット印刷による電子回路製造技術の実用化・普及に取り組んでいるという。同社への出資をICT領域におけるCVC投資の1号案件として、中長期的な協業機会の検討を進めるとしている。
味の素のイノベーション戦略チームは、新拠点でのCVCをはじめ、グローバルにインテリジェンス機能の発揮やパートナリング戦略の構築などの継続的な活動強化への取り組みを通じて、中期ASV経営 2030ロードマップの実現を目指すという。