東日本旅客鉄道(以下、JR東日本)、日本郵政、日本郵便は、社会課題の解決に向けた連携強化を目的として2024年2月21日に協定を締結した。
「郵便局・駅の地域コミュニティ拠点化」「持続可能な物流の実現」「アセット連携による共創型まちづくり」「地域産業振興と新たな地域事業創造」「デジタル化による地域の暮らし支援」を特に連携強化する“5本柱”と位置づけ、推進するという。
取り組みの概要は以下のとおり。
郵便局・駅の地域コミュニティ拠点化
郵便局・駅の拠点性を高め、地域のニーズに応じた機能も付加することで、地域のコミュニティ拠点を目指す。これまでも郵便局・駅の一体運営に取り組んできたが、2024年度に内房線安房勝山駅および宇都宮線蒲須坂駅、2025年度には外房線鵜原駅で新たに一体運営を開始するという。今後は郵便局・駅で、両社グループ商材の取り扱いや地域住民が集えるラウンジ、行政窓口機能の導入など、それぞれの地域のニーズに応じた機能の付加を検討していくとしている。
持続可能な物流の実現
これまで培ってきた知見やネットワークを組み合わせ、物流業界における2024年問題や環境問題への対応を目指す。まずは2024年度中を目途に、駅の多機能ロッカー「マルチエキューブ」に、ゆうパックの受け取りサービスを導入し、再配達負荷の低減などを図る。また、両社グループにて、鉄道車両と郵便車両を組み合わせるなど、輸送の省力化や環境負荷の低減を目指した「物流のリ・デザイン」に関する検討を実施。将来的にJR東日本路線における貨客混載など新しい物流の実現に向けた取り組みを進めていくという。
アセット活用による共創型まちづくり
両社グループが所有するアセットや事業運営ノウハウの活用により、都市の魅力や国際競争力を高めるまちづくりを目指す。JR秋葉原駅~御徒町間の高架下施設「SEEKBASE AKI-OKA MANUFACTURE」に日本郵政グループの「みらいの郵便局」プロジェクトとして「SOZO BOX」を2024年2月29日に開業し、既存の郵便局の枠にとらわれずに新しい価値を提供。また、エキサイトよこはま22に位置付けられている横浜駅東口ステーションオアシス地区開発に関しても、周辺関係者と協調しながら取り組んでいくとしている。
地域産業振興と新たな地域事業創造
地域と連携して、新たな産業創出や既存産業の活性化に取り組み、地域における雇用の創出や関係人口の拡大を目指す。2024年夏頃の東京中央郵便局および東京駅の「のもの東京駅グランスタ丸の内店」における山形県の特産品のコーナー展開を皮切りに、郵便局やエキナカなどで、地域の魅力的な商材を取り扱うコーナー展開や催事展開を実施。また、空き家などを活用した古民家再生を起点とした宿泊事業の展開など、新たな地域事業創造などの検討も行っていくという。
デジタル化による地域の暮らし支援
両社の強みである「リアルな顧客接点」を活かし、誰もがデジタル技術を活用できる「誰一人として取り残されない」社会の実現を目指す。まずは、駅でのオンライン診療サービスの拡大や、オンライン診療サービスにともなう処方薬の集荷・配送などの分野で協力。また、ゆうちょ銀行とモバイルSuicaの連携や両社グループ共同での加盟店開拓などにより、地域の暮らしに便利なキャッシュレスサービスの提供を検討していくとしている。