SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

Design Thinking Doing

「問題定義」はイノベーションへの近道

第13回

  • Facebook
  • X
  • Pocket

 前回までの連載では、デザイン思考の第一段階である「知覚」について紹介し、現場調査でどのようにユーザーと関わり、彼らの行動や発言から情報を獲得していく方法について紹介してきた。今回の記事から数回は、第二段階の「問題定義」を取り扱う。まずは全体像を理解するために、問題定義そのものや「着眼点(point of view)」など、キーワードに関する解説を行いたい。

  • Facebook
  • X
  • Pocket

イノベーションへの道へ通ずる「問題定義」

 現場調査が終わったあとは、集めた情報を整理・分析しながら、何がもっとも重要な課題なのかを突き詰めていく。以前の連載で紹介したd.schoolのプロセスでいえば、第二ステップの「問題定義」にあたる。

 ここでのポイントは「着眼点(POV:Point of View)」を適切に設定することだ。着眼点とは「どのような視点で問題を捉えるか」を簡潔に表したものである。

 たとえば、ユーザーの満足度が低いレストランのリ・デザインを行おうとした際に「1杯800円のコーヒーは高いかもしれない。価格設定に問題がある」と捉えることもできる。もしくは「800円のコーヒーをゆっくり楽しむための店舗づくりができていない。空間設計に問題がある」と考えることもできる。どう捉えるかによって、解決策の方向性は異なったものになっていく。

 未知の問題を明らかにしていくという意味で、これは「問題発見」のプロセスともいえる。新しい問題は、新しい解決策の創造を呼び起こす。それは、新しい市場を生みだすイノベーションへの道へと通ずる。

 非常に可能性に満ちたプロセスだが、その一方でチームには一定のストレスがかかる。なぜなら、問題そのものを探求する段階であるため「何が正しいのか」が誰にもわからないからだ。

 レストランの例で想定された問題は、すべて解決すべきものかもしれないし、すべて無視すべきものかもしれない。何もわからないのだ。そのような状態で「この着眼点が正しい」と確信は持てない。正解など存在しないのだから、「間違っているかも知れないが、まずはこの着眼点を設定しよう」と曖昧な形で合意する必要がある。

 不安定な状態で合意することもそうだが、合意するための「根拠」自体が曖昧な点もストレスになりうる。

次のページ
「確実性よりスピード重視」

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
Design Thinking Doing連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

柏野 尊徳(カシノ タカノリ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • Facebook
  • X
  • Pocket

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング