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再現性のあるイノベーション経営の型

NTT西日本のQUINTBRIDGEが場として構想する、日本流のイノベーションと西田哲学的な思想とは

【後編】ゲスト:西日本電信電話株式会社 代表取締役社長/社長執行役員 北村亮太氏

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「課題が価値に直結する時代」におけるイノベーションのKPIとは

紺野:一方で、QUINTBRIDGEを継続的に運営するには、ある程度の収益性も確保しなければいけません。何かベンチマークとなる指標はありますか。

北村:QUINTBRIDGEには主に3つの目的があり、1つ目は共創の促進です。現在まで、QUINTBRIDGEでのコラボレーションをきっかけに4つの新しいサービス、事業をリリースしていますが、こうした共創活動がどれだけの収益を生み出したのかというのが、主要のKPIになっています。ただ、QUINTBRIDGEは設立からまだ2年半しか経っていませんし、この点での評価はまだ先の話だと思います。

 2つ目の目的は社員の育成です。組織変革とはすなわち「人」の変革だと思うので、社員がQUINTBRIDGEで毎日開催されるセミナーやプログラムに参加し、QUINTBRIDGEに集ったイノベーターたちに刺激を受けて、新たなチャレンジに踏み出したのかどうかに注目しています。これについては社内でアンケート調査を実施し、QUINTBRIDGEを利用した社員の70%以上が自身の行動面に変化があり、特に知識習得やキャリアアップのために行動するようになったと回答しました。今後も、こうした指標をもとに社員育成の効果を評価していきます。

 そして、3つ目がブランド価値の向上です。QUINTBRIDGEという施設を運営することで、NTT西日本が社会課題解決や未来社会創造にむけてオープンにチャレンジに取り組んでいるということを世の中に広く知っていただくと。第三者が実施するイノベーティブ大企業ランキングにおけるNTT西日本のポジションが大きく上昇したり、NTT西日本への入社や転職の動機の一つされる方も増えており、これらについても価値換算できると考えています。

北村亮太
西日本電信電話株式会社 代表取締役社長/社長執行役員 北村亮太氏

紺野:社員育成やブランド価値など、財務諸表には現れないインテレクチュアル・キャピタル(知的資本)の獲得にも重きを置いているわけですね。たしかに、QUINTBRIDGEを自社の知識や社会的知的資本を生み出す研究機関だと捉えると、そのために一定の予算を投下するのは納得できます。

北村:今後は、課題が価値に直結する時代が到来するはずです。ならば、課題は対価を払ってでも外部から収集するべきだと思いますし、だからこそQUINTBRIDGEの存在に意味があります。

 また、近年では人的資本経営の機運の高まりから、非財務情報の可視化が進んでいます。NTT西日本としても、試行錯誤はあるのですが、知識の獲得やブランド価値向上などの指標化を進めながら、QUINTBRIDGEの価値を広くアピールしていくつもりです。

紺野:イノベーションとは、必ずしも企業内における新規事業の創出ではなく、新たな価値を生み出す社会的な知識創造活動を指します。その意味では、QUINTBRIDGEは社内外を巻き込みながら、より広義のリターンを生み出すイノベーションを実践しているといえるかと思います。

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イノベーターたちの共通言語としての「IMS」

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この記事の著者

島袋 龍太(シマブクロ リュウタ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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