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再現性のあるイノベーション経営の型

NTT西日本のQUINTBRIDGEが場として構想する、日本流のイノベーションと西田哲学的な思想とは

【後編】ゲスト:西日本電信電話株式会社 代表取締役社長/社長執行役員 北村亮太氏

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 本記事では、前編に引き続き、NTT西日本 代表取締役社長 社長執行役員の北村亮太氏を招き、同社のオープンイノベーション施設「QUINTBRIDGE(クイントブリッジ)」について聞いた。聞き手のJIN 代表理事の紺野登氏がQUINTBRIDGEの今後の展望について迫ると、NTT西日本が構想する「日本的なオープンイノベーション」の全体像が見えてきた。

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QUINTBRIDGEは「イノベーションディストリクト」のハブになれるのか?

紺野登氏(以下、敬称略):後編では、QUINTBRIDGEの今後の展望を中心にお伺いします。まず、お尋ねしたいのは、QUINTBRIDGEをどのようなイノベーション拠点にしていきたいかです。

 というのも、近年、欧米では「イノベーションディストリクト(イノベーション先導地区)」という、大企業やスタートアップ、大学、研究機関などが集積した都市エリアのあり方が注目を集めているからです。例えば、イギリスでは、ロンドン中心部のキングス・クロス駅からセント・パンクラス駅にかけての地区に「Knowledge Quarter(ナレッジ・クォーター)」と呼ばれるイノベーションディストリクトが形成されています。そこには、利便性の高い交通拠点、GAFAM企業(アルファベット、メタ等)のイギリス本社や多くのスタートアップ、医療研究機関、ロンドン芸術大学のカレッジ、大英図書館などが集まり、優れた人材たちが自然とコラボレーションするエコシステムが生まれつつあります。

 QUINTBRIDGEは、こうしたイノベーションディストリクトを築く原動力になりうるのではないかと思っています。大阪の都市部に立地し、交通の便にも優れていて、来年には大阪公立大学のキャンパスが近隣に移転する予定もある。京橋の街全体が今まさにイノベーションディストリクトとして浮上しているわけです。こうした視座で、QUINTBRIDGEをどのような拠点にしていきたいとお考えでしょうか。

北村亮太氏(以下、敬称略):前編でもお話しましたが、現在、大阪府や大阪市も京橋駅周辺の再開発検討にあたり、イノベーションを中核においた構想をもたれていて、国内外からのスタートアップの誘致や人材交流の活性化などを図っています。そのため、QUINTBRIDGEもイノベーション創出の拠点として役割を果たしていくつもりです。

 ただ、一方で、日本はそれほど大きな国ではありませんし、特定のエリアに縛られず、視野を広げてもよいかなと思っています。つまり、大阪や京阪神エリアだけでなく、全国の方々に課題解決を図る場としてQUINTBRIDGEを利用していただきたいなと。

 実際に、すでに西日本の数多くの地方自治体の首長の皆さんが視察に訪れていて、QUINTBRIDGEに関心を持つ方も増えています。また、QUINTBRIDGEでは年間400回ほどのイベントを開催していますが、そのうちの1割ほどは地方自治体主催など地方創生関連のイベントです。全国の地域課題を大阪に持ち寄ってQUINTBRIDGEで解決するというモデルもよいのではないかと構想しています。

紺野:QUINTBRIDGEは、法人会員だけでなく、個人も無料で会員登録できるのが特徴です。ということは、大阪を中心に多様な人材が集っているはずですし、その「知」を活用できるのは他の地域にとっても魅力的でしょうね。

北村:ありがとうございます。現在、法人契約は約1,600社、会員数は約22,000人です。そのなかには極めて優れたイノベーターも多く、私たちとしてもマッチングを促進する機会を更に拡大したいと考えています。京橋や大阪にも貢献しつつ、日本全体のイノベーション拠点にもなるというのが理想像ですね。

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この記事の著者

島袋 龍太(シマブクロ リュウタ)

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