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再現性のあるイノベーション経営の型

NTT西日本のQUINTBRIDGEが場として構想する、日本流のイノベーションと西田哲学的な思想とは

【後編】ゲスト:西日本電信電話株式会社 代表取締役社長/社長執行役員 北村亮太氏

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イノベーターたちの共通言語としての「IMS」

紺野:今後、QUINTBRIDGEを運営するうえでのマネジメントやガバナンスの仕組みについてもお伺いしたいです。なぜなら、QUINTBRIDGEには社内外の多様な人材が集まってイノベーション活動に取り組むわけですから、共通言語や基盤としての経営システムが必要だと思うからです。

 JINはイノベーション・マネジメントシステム(IMS)の国際規格であるISO56000シリーズを審議する日本代表の団体でもあります。例えば、このIMSのように知識創造のプロセスを体系化した規格は、多様なバックグラウンドを有するイノベーターたちを統合する共通言語、成果を知る共通尺度として有効ではないでしょうか。ISO56000シリーズのようなマネジメントシステムについては、どのようなお考えをお持ちでしょうか。

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資料提供:一般社団法人Japan Innovation Network代表理事 紺野登氏/クリックすると拡大します

北村:おっしゃる通りで、多様な人材を繋ぐ共通言語を設定してイノベーションを促すというのは、今後の課題の一つでもあります。ISO56000シリーズには暗黙知を形式知化するプロセスも定められているようですが、蓄積した知識を広く利用可能な状態にするのも必要だと思います。いずれにせよ、「イノベーションは一人では生み出せない」というのが前提だと思いますので、コラボレーションを促す仕組みは必要不可欠ですね。

紺野:ISO56000シリーズのポイントは、組織全体でイノベーションを創出する構造になっていることです。おっしゃられるように中核にあるのは「イノベーション活動」と呼ばれる知識創造活動です。往々にしてイノベーションというとこの活動のみに焦点を当てるので育たない。

 一方このシステム(IMS)には一部分のイノベーターだけでなく、社内の財務部や人事部もイノベーションのプレイヤーとして組み込まれます。まさに総力戦でイノベーションを生み出すわけですね。「イノベーションは一人では生み出せない」という北村さんの言葉にも通じる部分があるのかなと。

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一般社団法人Japan Innovation Network代表理事 紺野登氏

北村:新たな事業を立ち上げるということは、以前は別の領域に割り当てていたリソースを新領域に移動させなければいけません。その意味でも、組織全体でイノベーションへのコンセンサスが必要ですし、それがなければ取り組みはいずれ頓挫してしまうでしょう。社内でイノベーションへの共通言語を形成するためにも、IMSは有効なのかもしれませんね。

紺野:ありがとうございます。例えば、国内の製造業では、品質管理システムのQMSが経営システムとして一般化しています。もちろん、QMSは品質管理や顧客満足度向上に有効なのですが、新たな価値を生み出すためにはイノベーションの創出が不可欠です。そのため、JINとしても、QMSとIMSを組み合わせた新たな経営システムの構築を視座に置いており、今後の活動を通じてこうした新たな経営の次元への転換という考えを広めています。

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QUINTBRIDGEの根底に流れる「日本的な人間観」

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この記事の著者

島袋 龍太(シマブクロ リュウタ)

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