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オープンイノベーション促進税制と企業の本音

資本業務提携からM&Aに至る「デーティング投資」とは──Relicにグループインしたリビルドの戦略

第5回

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Relicとの資本業務提携で大企業との取引が急増

及川厚博氏(以下、及川):Re:Build(以下、リビルド)は、他県出身の鈴木さんが沖縄で起業したスタートアップです。現在の事業展開はいかがですか。

鈴木孝之氏(以下、鈴木):現在はスタートアップスタジオ事業を行っていて、主にスタートアップの新規事業の開発支援やエンジニアの育成事業を行っています。2017年に沖縄で創業しました。2年目からは投資家から資金調達して、自社プロダクトを作ったこともあるのですが、なかなかうまく行きませんでした。そこで受託もやりながらサービスも開発していくような形で、IPOを目指すことにしました。

及川:なぜ沖縄で起業をされたのでしょうか。

鈴木:大学のころから地方創生を学んでいたことから興味を持っていました。ちょうど7年前に沖縄でアクセラレーションプログラムができたことから、VCも生まれて、沖縄発スタートアップが盛り上がってきたこともきっかけです。

及川:そうだったのですね。最初はどのような事業からスタートしたのでしょうか。

鈴木:エンジニアの紹介や育成の事業から始めました。エクイティは沖縄のVCなどから、デットでは銀行から調達してスタートしました。プロダクトとしては、エンジニアのリファラルマッチングサービスを作っていました。「YOUTRUSTのエンジニア版」と紹介すればわかりやすいでしょうか。これはスケールしなかったので、サービスは休止に近い状態になりました。

及川:そうしてスタートアップスタジオ事業の立ち上げへと進んでいくのですね。

鈴木:そうですね。創業4年目でRelicさんと資本業務提携しました。出資いただいたのはVC以外だとRelicさんだけです。M&Aクラウドの「資金調達クラウド」が出会いのきっかけで、何社か面談をする中で一番考え方が近かったことから提携を決めました。

及川:どのようなところが近かったのですか。

鈴木:当社のミッションは「助け合える世界を作る」であり、目指していたのは「沖縄で挑戦者を助ける」ということでした。他方Relicさんは、起業家や事業家などあらゆる事業への挑戦者を助ける事業を日本中で展開しています。彼らは、私たちのビジョンの延長線上にいると思いました。

株式会社Re:Build 代表取締役CEO 鈴木孝之氏
株式会社Re:Build 代表取締役CEO 鈴木孝之氏

及川:出資後はRelicさんと一緒に仕事をすることもあったのでしょうか。

鈴木:ありましたね。上場企業の新規プロダクト立ち上げの案件で、RelicからPM(プロジェクトマネージャー)が1人、当社からエンジニアが3人入るケースがありましたが、これは今も事業として続いています。

及川:RelicさんがPM、御社がエンジニアを出すというのが基本的な仕事の進め方なのですね。

鈴木:そうですね。Relicさんと提携することにしたのは、当社にプロジェクトマネジメントができる人材が少なかったことも要因の一つです。

及川:ちなみに、Relicさんと提携する前は大企業との取引はどの程度あったのでしょうか。

鈴木:ほぼありませんでした。Relicさんと提携するまでは、沖縄のスタートアップか知り合いが経営している東京の会社への開発支援が中心でしたが、以降はほぼ毎月何かしらの発注がありました。今では、年間の売上の3分の1はRelicさんからの発注が占めるようになっています。

及川:すごいですね。他社の話を聞いていると、資本関係のある会社に発注をする会社というのは意外と少ないものです。なぜそれほどうまく連携できたのでしょうか。

鈴木:当時私たちを提携先に選んでくれた理由として、志が近いというだけでなく、技術力がかなり高いと思ってもらえたことも大きかったと自負しています。Relicさんは大手企業の新規事業の開発支援をやっているので、エンジニアをただ集めるだけではよいプロダクトはできないと考えていたそうで、当社のようにスタートアップの支援が好きなエンジニアと働きたいという前提で提携先を探していたところでした。

及川:大企業案件の増加にともない社員の数も増えたのでしょうか。

鈴木:2倍くらいになりました。私はエンジニアを採用して育てるのは得意だったのですが、大手企業の案件を取るのが苦手だったので、案件さえあればけっこう売上が伸びることがわかりましたね。

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この記事の著者

及川 厚博(オイカワ アツヒロ)

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