M&A後の3年間で年平均成長率47%を達成した理由
及川厚博氏(以下、及川):スマートキャンプさんのマネーフォワードさんへのグループジョインは、2019年当時、スタートアップ同士のM&Aの先駆け的な事例として話題になりました。スマートキャンプさんはM&A後の成長が目覚ましい会社でもあり、今日はぜひその秘訣を伺いたいと思います。
林詩音氏(以下、林):M&A直前の2019年11月期と直近の2022年11月期の当社売上高を比較すると、CAGR(年平均成長率)は47%となりました。この成長スピードは、もしマネーフォワードにグループジョインしていなければ実現不可能だったと思います。
及川:事業面で2社間のシナジーが生まれている部分もあるのでしょうか。
林:マネーフォワードが2021年11月にローンチしたSaaS×デバイス管理OS「マネーフォワード Admina」との相互送客では、着実な成果が出ています。これは当初の想定外のシナジーでした。
さらに大きなメリットを感じているのがイベント事業です。具体的には、スマートキャンプでSaaS企業のリード獲得を支援するオンラインを中心とした展示会を開催しており、そこへのマネーフォワードメンバーの登壇が集客に非常に効果的です。
加えて、マネーフォワード役員の人脈で、社外からも著名ゲストを呼べるようになりました。おかげで、立ち上げから3年で数億円規模の事業に育っています。
及川:それはすごいですね。グループジョインした会社の事業のために、M&Aした側が人脈やリソースを投入してくれるのは理想的な関係性ですね。
林:そのマネーフォワードの役員は今、スマートキャンプ子会社の社長も務め、マネーフォワードとスマートキャンプの間をつないでくれています。スマートキャンプのリクエストに対して、マネーフォワードは本当に優先度高く動いてくれます。一時期、新卒採用を合同で実施していたのですが、それも当社からの希望を受けて、先方が迅速に対応してくれた結果です。
及川:マネーフォワードさんのM&A先が軒並み順調に成長している裏には、そのような取り組み姿勢があるのですね。
林:持ち上げるするつもりはないのですが、マネーフォワードの誰からも、上下関係のような意識を感じることがありません。常にスマートキャンプのやりたいことを軸にしたサポートをしてもらっています。
M&A検討時にいろいろな候補先と面談させていただいた中で、「ここならスムーズに協業していけそう」と感じたのがマネーフォワードでした。その勘は正しかったと実感しています。