「合理性」から「模倣」への戦略転換―格差は拡大し続けるのか?
「合理的経済人」に対して疑問を投げかけた著者は、「合理的模倣人」を提案します。ネットワーク上にいる他の行使主体者の行動を「真似る」ことが一番の合理的な選択なのだと主張します。合理的な選択を不可能にするほどの選択肢の多さ、個々の製品やサービス自体が複雑になっていること、などが「合理的」な判断を不可能にすると言います。特定の影響力のある人物や多くの人の選択を真似ることのほうが賢明であるという主張です。
では、このような「ネットワーク効果が働く社会」とは、幸せな社会なのでしょうか? べき乗則のグラフで表現されるもの、それは「圧倒的な勝者と圧倒的な敗者が存在する超・格差社会」でもあります。本書が他の書籍と差別化されている部分は、特にこの点に関しての提言です。では、本コラムのまとめして、べき乗則のグラフで表現されるネットワーク効果の影響を大いに受けた世の中で、どのような「模倣戦略」をとるべきか? その点を辿ってみましょう。