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アフターデジタル時代の組織の理想形はリクルートにあり──部門横断でサービス提供する顧客体験の番人とは

【後編】ゲスト:株式会社リクルート プロダクトデザイン室 室長 戸田洋平氏

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プロダクトデザイン室が担う「顧客体験の番人」としての役割

藤井:最後に、プロダクトデザイン室の役割についても掘り下げたいです。リクルートの顧客体験は精緻な組織構造によって生み出しているのはわかりましたが、そのなかでプロダクトデザイン室が果たしている役割も確実にあるはずです。プロダクトデザイン室としては、リクルートの顧客体験のどの部分に貢献しているとお考えですか。

戸田:プロダクトデザイン室は、いわば顧客体験の「番人」ですね。プロダクトにおけるユーザーが触れる部分をどのような画面にして、どのような挙動にするのかなどを決定しています。もちろん最終的な意思決定の責任はプロデューサーが担うのですが、リクルートの顧客体験の品質を担保してお墨付きを与えるのがプロダクトデザイン室の役割だといえます。

藤井:他の部門が顧客体験について意見や提案をすることはあるんでしょうか。

戸田:というよりも、あるプロダクトをリリースする際には、必ず複数の部門が合議制で意思決定を行います。営業やエンジニア、セキュリティなど、それぞれの部門のメンバーが専門的な観点で品質を担保するといった形です。そのなかでプロダクトデザイン室のメンバ―が顧客体験を重点的に検討します。

 なので、仮にプロダクトデザイン室が顧客体験にお墨付きを与えていても、それがクライアントの不利益に繋がりそうなのであれば、営業のメンバーがリリースを許可しません。いくら顧客体験が優れていても、クライアントが減っていくようでは売上が上がっていきませんから、だからこそ総合的な観点でプロダクトを評価する必要があります。顧客体験を重視する一方で、それだけに傾斜しすぎない意思決定の仕組みを設けているのもリクルートの強みですね。

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藤井:ここでも組織構造の強みが生きてくるわけですね。ちなみに、プロダクトデザイン室が顧客体験を向上させたり、評価したりする際にデータを活用することはありますか。

戸田:はい、データは積極的に活用しています。ユーザーパーソナライズした体験を提供する際には、データの活用が欠かせません。特に、ユーザーのニーズに対して精度の高い体験を提供するためには、体験のなかでユーザーのニーズを引き出す仕掛けが必要です。

 例えば、ゼクシィのサービスでいえば、結婚式場を探しているのか、ジュエリーを探しているのか、結婚に関する知識を得たいのかで、提供すべき体験は大きく異なります。そのため、プロダクトデザイン室では「今のお困りごとを教えてください」といったポップアップを表示して、ユーザーのニーズを引き出す仕掛けを設けています。これにより、ユーザーのニーズをデータとして収集し、データ推進室に共有してユーザーのデータモデルに反映することで、よりパーソナライズされた顧客体験の提供を可能にしています。

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OMO時代にも対応したリクルートの組織体制

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この記事の著者

島袋 龍太(シマブクロ リュウタ)

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