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KDDIがビジネスプラットフォーム「WAKONX」で目指す新たなモビリティ社会

KDDI SUMMIT 2024レポート

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5つのユースケースで見るKDDIのモビリティ戦略

 続いて相澤氏は、KDDIがモビリティ分野で取り組んでいる5つのユースケースを紹介した。これらのユースケースは、KDDIがどのようにして社会課題に取り組み、モビリティ社会の未来を形作ろうとしているかを示す具体的な事例だ。

 まず1つ目は「事故減少と渋滞緩和」である。交通インフラにおける渋滞は、経済的損失を引き起こす大きな課題だが、リアルタイムで自動運転車に情報をフィードバックすることで、事故や渋滞の発生を抑制できる。相澤氏は、「こうした取り組みは、モビリティ社会における重要なニーズであり、交通の効率化に大きく貢献する」と述べた。

 2つ目は「環境負荷の軽減」である。地球温暖化が進行する中で、相澤氏は「日本における電力の需給バランスの調整や、EVとの電力融通を通じて環境負荷を軽減できる」と説明。具体的には、電力のピークシフトや、電力網への負荷を分散することが可能になる。日本国内のみならず、グローバルな視点で環境対応が求められる中で、モビリティが果たす役割は大きい。

 3つ目は「労働力不足の解消」である。物流や倉庫業務における労働力不足に対応するため、AGV(自動搬送ロボット)やAMR(自律移動ロボット)などの導入が進んでいる。これにより、人手不足が深刻な現場でも、効率的に作業を進めることが可能になる。相澤氏は「ドローンを含む様々なモビリティを活用し、労働力不足の解消に貢献していく」と述べた。

 4つ目は「物流の効率化」である。相澤氏は「フィジカルインターネット」という概念を紹介し、通信のアーキテクチャを物流に応用することで、トラックの積載効率を向上させる重要性を説いた。通常の輸配送では、トラックが満載であっても、効率的に運用されていないケースが多い。複数の荷主の荷物を混載することで、物流コストの削減や輸送効率の向上が期待できる。これは通信業界でのパケット交換の効率化を物流に応用するもので、KDDIの持つ技術が物流業界でも活用されることになる。

 最後の5つ目は「新しい価値創造」である。相澤氏は、「空飛ぶクルマ」や自動運転技術の発展に触れ、「自動運転は人間が運転するよりも安全な世界を実現する」と述べた。車内のインフォテイメントも進化し、車が「動くリビングルーム」としての機能を持つようになることで、移動が単なる移動手段を超えた価値を提供するものとなる。これはKDDIがスマートフォンや家庭内IoTを展開してきた流れの延長に位置しており、今後も新たな価値を創出する考えだ。

 これらのユースケースを通じて、KDDIはモビリティ社会の進化に積極的に貢献し、社会的な課題解決と新しい価値の創造を目指している。相澤氏は「KDDIが考えるモビリティは、単なる移動手段の提供にとどまらず、社会全体にインパクトを与える」と述べ、今後も社会課題の解決を目指した取り組みを進めていく考えを示した。

KDDI株式会社 ビジネス事業本部 モビリティビジネス本部 副本部長 相澤忠之氏
KDDI株式会社 ビジネス事業本部 モビリティビジネス本部 副本部長 相澤忠之氏

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梶川 元貴(Biz/Zine編集部)(カジカワ ゲンキ)

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