生成AIの汎用性の高い、3つの活用シーン

1：外部環境分析での活用

　生成AIは、外部環境分析において非常に強力なツールとなります。業界トレンド調査、競合分析、PEST分析などを、わずか数分で完了させることが可能です。従来の方法では、Googleなど検索エンジンで情報を集め、それを精査し、形式にまとめ上げるという時間のかかる作業が必要でした。しかし生成AIを活用することで、この過程を大幅に短縮することができます。

＜実践のポイント＞

　既存の調査フレームワークをプロンプトに組み込むことが挙げられます。これにより、効率的にプロンプトの種類を増やし、より効果的な情報収集が可能になります。

　たとえば、事業領域を検討する際、比較検討しやすいように調査で明らかになった情報をカード形式に取りまとめます。私たちは「重要テーマカード」と呼んでいます。先日担当したプロジェクトでは、60枚ほどのカードを作成したのですが、たった1つのプロンプトでこれらの情報を取り出すことができます。時間にして、3〜5分程。現在の検討状況に合わせて適切な調査項目を設定できれば、スキルがまだあまり高くないメンバーでも一定レベルのリサーチが可能になります。

2：内部分析での活用

　内部分析においても、生成AIは大きな力を発揮します。経営資源の抽出や強みの言語化を、客観的かつ根拠を示しながら提案してくれます。

＜実践のポイント＞

　どこまでの情報を生成AIに入力していいのか判断が必要ですが、内部情報をCSV化し、生成AIに学習させることが挙げられます。これにより、より効果的で独自性のある分析が可能になります。例えば、ワークショップで得られた情報をCSV化してAIに学習させ、さらにIR資料やウェブサイトのURLを提供することで、会社の解像度を上げ、より具体的な「できること」や「強み」を抽出することができます。

3：事業アイデア発散と評価

　生成AIを活用することで、アイデアの具体性と実現性を即座に評価することが可能になります。これにより、初期アイデアの質と実現可能性が大幅に向上します。

＜実践のポイント＞

　プロジェクト固有の判断基準を明確に定義することが重要です。例えば、市場の判断においても、競合がいる市場に参入するのか、新市場を開発するのかによって、評価基準は大きく変わってきます。また、仮想インタビューによる検証も生成AIを用いることで数分で実施可能になります。従来のインタビュー調査では、設計からリクルーティング、実施、分析まで1〜2ヶ月かかっていましたが、生成AIを活用することでこのプロセスを大幅に短縮することができます。

生成AI活用の注意点

　生成AIの活用において、しばしば懸念されるのがハルシネーション（誤情報）の問題ですが、新規事業開発の初期フェーズにおいては、情報の精度よりも量の重要性の方が高いと考えられます。

　ただし、完全に不正確な情報では検討のブレが大きくなり過ぎてしまう問題があるため、ある程度の予防策は必要です。プロンプトに「ハルシネーションを避けてください」「信頼できる情報のみ取り扱ってください」といった指示を入れることで、ある程度の予防が可能です。

　また、ファクトチェックの実施も重要です。例えば、200サイト程度の情報を確認してもらうよう指示したり、引用元の情報を確認したりすることで、情報の正確性を高めることができます。