「こんなプランでは全然面白くない!」と言われて…。
佐宗(biotope 代表取締役社長 / イノベーション・プロデューサー):
社内承認をひとまず得て、スタート地点に立った状況までを前回お聞きしました。ベンチャーとのシナジーを生んでいく「絵」も少し見えてきた段階から、次の成長ステージはどのようなことが起こりましたか?
加藤(東京急行電鉄株式会社 事業計画部 企画担当 課長補佐):
いろいろなビジネスコンテストやアクセラレータプログラムを調査・研究させていただくなかで、「プログラム」に大きな影響を与える出来事が一つありました。起業家教育の権威でもある早稲田大学の長谷川博和教授から、初期構想に対して「こんなプランでは全然面白くない!」と、3時間みっちりと愛情を持って厳しいご指導をいただきました。
佐宗:
この企画が既に走っている段階になってですか?
加藤:
まだ企画設計の段階です。当初の企画は起業家に機会を与える単なるビジネスコンテストを想定していました。長谷川教授からは、「ビジネスコンテストは数多(あまた)あるし、良いベンチャーであれば多くのVCや企業から断りきれないほど投資の申し出もある。市場は金余りの状態(相談当時)で、資金的な支援はすでにコモディティ化しており、単なるビジネスコンテストだったらいまさら始めても意味がない。VCには出来ない事業会社ならではのベンチャー支援があるはずだ。」というアドバイスをいただきました。
プログラムのコアに悩んでいた中、長谷川教授のこの大変ありがたいご指摘により、「ベンチャーとの事業共創」というコアを設定し、プログラムの設計を大きく変更することになりました。