KPMGコンサルティングは、トムソン・ロイターと共同で実施した、国内企業における経済安全保障・地政学リスク対応の取り組みに関する調査結果をまとめたレポート「経済安全保障・地政学リスクサーベイ2025」(速報版)を発表した。
同レポートは、国内上場企業、および売上400億円以上の未上場企業176社の経営企画・リスク管理部門を対象に、企業が注目する経済安全保障・地政学リスクや経営戦略上の対応方針、対応における課題感などについて2025年1月7日から2月21日にかけて独自調査し、特に注目される要点を速報版としてまとめている。
米国新政権の政策変更を66.1%の企業が懸念
66.1%の企業が「米国新政権の政策変更」による影響を懸念しているほか、過半数が「米国による対中規制強化」「台湾情勢の緊迫化」「中国による貿易管理規制強化」と回答。企業が懸念するリスクが、米国と中国関連に集中していると改めて浮き彫りになった。
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一律関税を含む「関税引き上げ」、次いで「気候変動対策の後退」を懸念
米国新政権誕生で懸念するリスクとして、「関税の引き上げ」と「気候変動対策の後退」が警戒されている。関税強化やEV施策の変更などで、幅広くサプライチェーンが影響を受けるとの受け止めが広がっている。
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27.0%の企業が中国へのサプライチェーン依存度低下を検討
米国新政権発足を受けサプライチェーン依存度低下を検討する地域を質問したところ、首位に来たのは「中国」で27.0%。米国新政権は中国に高い関税引き上げを表明しており、懸念の高まりが見られる。
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約20%の企業がAIなどの規制緩和と米国内生産の優遇に期待
米国新政権で期待する事業機会のうち、「AI、自動運転車を含む技術分野の規制緩和」が19.2%で最多となった。トランプ大統領は規制緩和に関心が高く、市場が活性化するとの見立てがあることがうかがえる。
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インテリジェンス活動を中長期的な機会/リスク調査に使う企業が約30%
インテリジェンス活動として最も重視するのが、「中長期の成長戦略についての機会やリスク調査」で29.8%。直近の機会やリスクを見るだけでなく、長期的な視点を持とうとする企業の姿勢が垣間見える結果となった。
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反ESGが環境施策と中期経営計画に影響と10%超の企業が回答
反ESG(ESGに懐疑的な意見・動向で、気候変動施策やDEIなどを批判する立場を取る)が、「自社の環境重視の取り組みに悪影響が懸念される」で13.0%と最も多く、次いで「中期経営計画に影響が生じる」が11.0%と続いた。サステナビリティ施策の負担やその負担にともなうサステナビリティ施策への反動が、中長期的に続くと感じていることが背景にあるという。反ESGへの対応施策として、商品やサービス宣伝でESGを訴えすぎないようにするとの回答も見受けられた。
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