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大企業が社会課題ビジネスを成功に導くには──EYSCに聞く、「社会課題×新規事業」成功のポイント

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社会課題ビジネスでは「非市場」の活動が肝になる

──本書では、社会課題ビジネスを構想するための「3つのステップ」や「9つの検討事項」が解説されています。詳細は本書に譲りますが、お二人が特に重要だと思うステップや検討事項があればお聞かせください。

中川:私は第9章で解説している「社会課題のポテンシャルを引き出すビジネスモデルをつくる」です。これ以前のプロセスは、主に社会課題のテーマや新規事業の戦略を検討するフェーズなのですが、私の実感としてはビジネスモデルの構築からより難易度が高まると感じています。的を射たテーマや戦略を設定できていたとしても、具体的なビジネスモデルを描けなければ収益性やスケーラビリティは望めません。社会課題のポテンシャルを引き出し、マネタイズの仕組みを作り上げるためにも、ビジネスモデル構築のフェーズは極めて重要だと思います。

岩泉:私は第13章の「前提条件を達成するための働きかけの戦術をつくる」です。つまり、ステークホルダーを巻き込むための取り組みですね。社会課題を解消するには企業単独では限界があるため、企業や行政、大学、政府など、様々なステークホルダーを巻き込んで取り組みの輪を広げていかなければいけません。

 たとえば、最近では、化石燃料の代替エネルギーとして水素が注目されています。しかし、水素の実用化には生産、輸送、供給、保管などの面で、数々の壁が存在します。これらの壁を乗り越え、水素エネルギーの産業を確立するには、社会全体への働きかけが必要です。

 特に、キーポイントになるのが政府をはじめとした公共セクターでしょう。政府への働きかけというと、一般的には補助金や助成金などがイメージされますが、ここではロビイングなどの政策立案や立法への働きかけも含んでいます。市場内での戦略とは別に、ロビイングなどの非市場戦略をいかに実行していくかは、社会課題ビジネスを成功に導くうえで極めて重要だと思います。

──最後に、これから社会課題ビジネスに取り組む企業や担当者に向けてメッセージをお聞かせください。

中川:ぜひ好奇心を強く持っていただきたいと思っています。ここまでの話にもあるように、社会課題ビジネスには様々な要素が絡み合っています。ビジネスはもちろん、法律、技術、デジタル、インフラ、ときには政治にも視野を広げなくてはいけません。そうした場合に、取り組みに着手してから勉強を始めるのと、事前にある程度の知識を有していて取り組みを進めるのとでは、結果に大きな差が生まれます。そのため、これから社会課題ビジネスに取り組む方には、常日頃から積極的に情報収集に励み、幅広い領域に対応できる素養を養っておいてほしいです。

岩泉:先ほど、「社会課題というとNPOやスタートアップが取り組む印象が強い」と話しましたが、実際に社会課題ビジネスに関する書籍の多くは、NPOやスタートアップ向けに執筆されています。つまり、大企業向けに社会課題ビジネスを手ほどきする書籍は極めて少ないわけです。それが本書を執筆するうえでの私のモチベーションでした。本書では、大企業の組織や強みを踏まえて社会課題ビジネスを解説しているので、これから取り組む大企業の方にぜひ手に取っていただきたいと思っています。

 また、タイトルにも掲げていますが「ソーシャル×テクノロジー」というポイントも強調しておきたいです。テクノロジーの進化により、これまでは想像もできなかった社会変革が実現可能になりつつあります。これまでの人類の歴史を振り返っても、テクノロジーは社会課題と出会うことで社会を前進させてきました。その契機が今まさに目の前に訪れているというのが私の考えです。本書を手に取っていただいた方には、ぜひ歴史の立役者になってほしいと願っています。

EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 EYパルテノンについて

 EYパルテノンは、変革戦略、トランザクション、コーポレートファイナンスを独創的に組み合わせることで、単なる机上の空論ではない実際に機能するソリューションを提供しています。

 私たちは絶えず複雑さを増す世界を前に、EYが提供する包括的なサービスラインアップを活用しながら、未来に対応する戦略コンサルティングです。職能領域に関する深い知識とセクターごとの専門性を備え、革新的なAI技術と投資家の視点を組み合わせることで、CEOをはじめとする経営層、投資機関、政府機関といったパートナーと共に、一歩ずつ、確信を持って未来を形作る支援をします。

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この記事の著者

島袋 龍太(シマブクロ リュウタ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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