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コスト削減から「攻めの物流」へ。AIが導く事業持続と売上向上の新常識

「Logistics DX SUMMIT 2025」レポート

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「人が介在すべき価値」への集中とDX内製化への戦略

小野塚:ありがとうございます。では最後のテーマです。AIがもたらす物流の未来をどのように描いているかお聞かせください。

松倉:物流業界では「ソフトとハードの融合」を見据えることが極めて重要です。トラックの隊列走行や倉庫の自動化など、ハードウェアの進化は非常に速い。その未来を見据え、「将来、人がやらなくなる仕事」の効率化に投資するのではなく、「将来の自動化された世界で、人が介在することで絶対に価値を持つ部分」にAIやデータを集中投資する。この戦略的な選択と集中が、将来の競争力を左右すると考えています。

小野塚:まさにフィジカルインターネットの世界観ですね。松下さんは、その先の未来をどう見ていますか?

松下:少し前に登場したAIエンジニア「Devin」の登場に衝撃を受けました。これまで30人のエンジニアが必要だったシステム開発が2人でできるかもしれない。つまり、物流DXの内製化が当たり前になる時代が、1年以内に来ると見ています。Amazonのように、各物流会社が自社でアジャイルにシステム開発できるようになる。データの接続やUI開発は民主化されていくでしょう。この変化を見据え、インフラのような外部に任せる領域と、アプリケーションのような自社で開発する領域を見極める視点を持つことで、DXの進化は2倍速くなるはずです。

小野塚:開発体制でも、自社で持つべき機能と外部サービスを利用する機能の使い分けが進むということですね。前川さんはいかがでしょうか。

前川:私たちは、自社のために作った循環物流のプラットフォームを他社様にも提供することで、日本のサーキュラーエコノミーやシェアリングエコノミーの実現を加速させる礎になりたいと考えています。

 さらにその先では、プラットフォームに蓄積されるモノや人の好みといったデータを活用し、一人ひとりの消費者にとって最適なものが推奨され、目の前に届けられるような高度にパーソナライズされた世界を作りたい。洋服だけでなく、旅行、食、住居など、あらゆる領域にこのビジョンを広げていきたいです。

経営戦略としてAIを何に活用すべきか

小野塚:ありがとうございます。最後に一言メッセージをお願いします。

松倉:物流業界は今、本当にエキサイティングな転換期にあります。データ活用は、事業への深い理解や地道なデータ整理といった泥臭い作業が不可欠です。一歩ずつ着実に進めていただくことが成功のカギだと思います。

松下:ぜひ、「まず、かじってみる」ことをお勧めします。ChatGPTなど、まずは無料で触れてみてください。今の時代は変化が非常に速いので、“評論家”になるのではなく、実際に触れて肌感覚を持つことが何より重要です。

前川:データは、未来に向かうための「振り返りのツール」です。データを見て何が見つかっても「これで前に進める」とポジティブに捉えることが大事です。実現したいことがある人にとって、AIは可能性を拡張してくれる本当に強い武器になります。

小野塚:AIは縁遠い話ではなく、現実のツールです。しかし、技術が進化する中で、最初に松倉さんがおっしゃったように「経営戦略としてAIを何のために使うのか」という問いが、改めて重要になります。たとえば5年後、10年後、自動運転が当たり前になったとき、自社はどうやって競争優位を築くのか。未来の姿を見定めた上で、「我々は今どうするのか」を考えていただく契機に、このセッションがなれば幸いです。本日はありがとうございました。

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この記事の著者

梶川 元貴(Biz/Zine編集部)(カジカワ ゲンキ)

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