帝国データバンクは、全国2万6,237社を対象に、SDGsに関する企業の見解についてアンケート調査を実施した。
「SDGsに取り組んでいる」企業の割合は過去最高も、「取り組みたいと思っている」企業は低下
自社におけるSDGsへの理解や取り組みについて尋ねたところ、「意味および重要性を理解し、取り組んでいる」企業は前年比0.5ポイント増の30.2%となり、2020年の調査開始以降で最高を更新。「意味もしくは重要性を理解し、取り組みたいと思っている」は同1.7ポイント減の23.1%となった。合計すると「SDGsに積極的」な企業は1.2ポイント減の53.3%と、初めて前年から低下。

「言葉は知っていて意味もしくは重要性を理解できるが、取り組んでいない」は33.8%、「言葉は知っているが、意味もしくは重要性を理解できない」は8.0%で、「SDGsを認知しつつも取り組んでいない」企業は同0.9ポイント増の41.8%となった。
規模が小さいほど「SDGsに積極的」な企業の割合が低く
企業規模別に見ると、「大企業」ではSDGsに積極的な企業が71.1%と、全体(53.3%)を大幅に上回った。「中小企業」では50.2%、うち「小規模企業」では40.8%。規模が小さいほどSDGsに積極的な企業の割合が低くなる傾向が続いている。

現在力を入れている項目は「働きがいも経済成長も」がトップ
SDGs17の目標の中で、現在力を入れている項目を尋ねたところ、働き方改革や労働者の能力向上などを含む「働きがいも経済成長も」が34.1%で最高。次いで、カーボンニュートラル製品の使用などを含む「気候変動に具体的な対策を」(24.3%)、再生可能エネルギーの利用などを含む「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」(24.2%)、リサイクル活動などを含む「つくる責任つかう責任」(22.9%)が続いた。

総じて、いずれかのSDGs目標に力を入れている企業は前年(72.8%)から0.4ポイント増の73.2%。SDGsに「取り組んでいない」などと回答した企業でも、気付かないうちにSDGsに取り組んでいる企業が多数見られた。
今後最も取り組みたい項目も「働きがいも経済成長も」がトップ
今後、最も取り組みたい項目について尋ねたところ、現在力を入れている項目と同様に「働きがいも経済成長も」が11.2%でトップ、全項目の中で唯一1割を超えた。次いで、「パートナーシップで目標を達成しよう」(7.0%)や「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」(6.7%)が上位に並んだ。

企業の7割がSDGsの効果を実感
現在SDGs各目標に力を入れている企業に取り組みによる効果を尋ねたところ、「効果を実感」している企業の割合は前年(69.5%)から0.4ポイント増の69.9%。
具体的な効果としては、「企業イメージの向上」が40.5%でトップとなった。次いで「従業員のモチベーションの向上」(32.1%)、「経営方針等の明確化」(17.3%)、「採用活動におけるプラスの効果」(17.0%)が続いた。
また、「取引の拡大(新規開拓含む)」(11.8%)と「売り上げの増加」(11.7%)などが1割台となり、SDGsへの取り組みが社会課題の解決に貢献するだけでなく、ビジネスチャンスの獲得や業績の向上にもつながる可能性があることが示された。

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