ガートナージャパン(以下、Gartner) は、「日本におけるクラウドとAIのハイプ・サイクル:2025年」を発表した。
同ハイプ・サイクルでは、クラウドとAIに関して、1)AI、産業革命関連、2)クラウド関連、3)マイグレーション関連の3つの観点から特に注目すべき34のテクノロジやイノベーションを取り上げている。

日本におけるクラウドとAIのハイプ・サイクル:2025年/出典:Gartner(2025年8月)
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- AI、産業革命関連:A2A(Agent2Agent)プロトコル、AIエージェント、AIオーケストレーション、AIネットワーキング、AIファクトリ、LLM(大規模言語モデル)プラットフォーム・サービス、LoRA(ローラ)、MCP(Model Context Protocol)、QCaaS(量子コンピューティング・クラウド・サービス)、World Model (世界モデル)、インダストリAI、エージェント型AI、クラウドAIサービス、ハイパーAIスーパーコンピュータ、フィジカルAI、マルチエージェント・システム、検索拡張生成(RAG)
- クラウド関連:FinOps、IaC(コードとしてのインフラストラクチャ)、Newオンプレミス、インダストリ・クラウド・プラットフォーム、クラウド・ネイティブ、クラウド・レジリエンス、クラウドCOE(センター・オブ・エクセレンス)、サービス・ファクトリ、サービスとしてのベアメタル(BmaaS)、サイト・リライアビリティ・エンジニアリング、ソブリン・クラウド、プラットフォーム・エンジニアリング、マルチクラウド、分散クラウド
- マイグレーション関連:M2C(Mainframe-to-Cloud)マイグレーション、V2C(Virtual-to-Cloud)マイグレーション、再仮想化
生成AI、AIエージェント、エージェント型AI、マルチエージェント、ハイパーAIスーパーコンピュータなどは現在、ハイパースケーラー各社の主要イノベーションと競争領域になっており、MCPやA2Aプロトコルのように新たなAIレイヤーを形成するプロトコルを巡る競争も加速している。
このようなスケーラビリティを有するインフラから提供されるクラウド・サービスを使うことで、企業はクリックだけでマルチエージェントを数万、数十万、数億といった単位で生成できるようになるという。また、EVからヒューマノイドを含む工場までをエンド・ツー・エンドのデジタル閉ループとし、AIで最適化できるようになる。企業はこうした新たなクラウドとAIの時代の到来に備える必要があるとのことだ。
また、企業はマイグレーション領域でのクラウド・サービスの進展にも注目すべきだという。効果的なサービスを自らしっかりと理解し駆使(自分で運転)できるようにすることで、企業はメインフレームや仮想環境からのマイグレーション・コストを大幅に抑制できる可能性がある。限られた原資を有効に使うために、効果的なクラウド・サービスやソリューションを駆使することで既存システムに対して大幅なコスト削減を実現し、そこでの余剰をAIや人材などへの戦略投資に回していくことが重要な戦略的アプローチになるとのことだ。
全般的にAIは、ベンダーの投資が非常に活発であると同時にユーザー側の関心も持続的に高まっている。このような状況を踏まえ、同社ではAIは比較的早い段階で成熟期に達すると見ている。一方で、クラウド関連のテクノロジは登場から相応の年月が経過しているにもかかわらず、企業における活用が限定的にとどまっているという。
これからさらにAIはAGI、ASI(Artificial Superintelligence:超知性)へ向けてさらに進化していく。一方で、AI領域の多くのイノベーションは、過熱(ハイプ)しやすい傾向があり、中でも近年注目されている「エージェント型AI」はその典型だとしている。
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