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KDDI事例に見る、AI「Rovo」でJiraから「協働システム」へ変革するアトラシアンの戦略とは

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 アトラシアンが「Jiraの会社」から、AIを核とした「協働システム(System of Work)」のプラットフォーマーへと変貌を遂げようとしている。2025年10月23日の説明会で、同社は最新戦略と中核AI「Rovo(ロボ)」を公開。アトラシアンの戦略に加え、KDDI Digital Divergence Holdings 木暮圭一氏が4,000 ID規模のクラウド移行と「温かみのあるAI」活用の実態を語った。

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「Jiraだけの会社」から脱却。アトラシアンが目指す3市場と「協働システム」

 冒頭、アトラシアンの朝岡絵里子氏(マーケティング統括マネージャー)は、同社が「Jiraだけの会社」というイメージの払拭に努めていると語った。

 2002年の創業以来、同社はJiraやConfluenceで成長したが、現在は「ソフトウェア開発」「サービスマネジメント」「ワークマネジメント」の3市場をカバーする。主力製品では、技術・非技術チームの利用比率がほぼ「半々」だという。

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 背景に、デジタルとビジネスの融合が進み、「複数チームの連携による成果創出」の要求が高まっていると朝岡氏は分析。この課題に応えるのが、ミッションである「あらゆるチームの可能性を解き放つ」に基づき提唱する「System of Work(協働システム)」だ。これは、異なるチームがサイロ化せず、共通の目的に向かう仕組みを指す。

 このシステムは「作業と目標の連動」「計画と進捗の把握」「社内ナレッジの活用」「AIチームメイト」の4つを重視。タスクと事業目標が紐づき、進捗が全社で可視化され、ナレッジがAIで活用可能になり、AIが「チームメイト」となる。

System of Work(協働システム)

 AI時代に、この仕組みはさらに重要性が増すと朝岡氏は強調。「AIには適切な文脈が重要」であり、ナレッジがサイロ化し業務と目標が分断されては、AIは真価を発揮できない。アトラシアンが「System of Work」で目指す変革は、AIの力を引き出す必然的な進化なのだ。

AI活用の「必然」。クラウド移行と製品体系刷新の全貌

 アトラシアンが提唱する「協働システム」実現のため、同社は具体的な戦略を打ち出す。

 第一歩がクラウドへの完全移行だ。オンプレミス版Data Center製品は、2029年3月にサポートを終了する。

 第二のステップが、製品体系の根本的な刷新。JiraやConfluenceといった従来の「製品」は、「アトラシアン・クラウド・プラットフォーム」という単一基盤上の「アプリ」として再定義された。これにより、製品ごとに分断されがちだった検索機能やナレッジグラフなどがプラットフォーム側で共通化される。これは組織内の「製品間のサイロ」を徹底的に排除することを意味する。さらに「アプリ」は、ユーザーの役割に応じた「コレクション」として新たにパッケージ化される。

アトラシアン・クラウド・プラットフォーム
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 この変革は、組織内の情報とワークフローを単一基盤上で連携させ、部門間の壁を取り払う。これこそが、AIに「適切な文脈」を与え、「協働システム」を技術的に実現する土台整備なのである。

中核を担うAI「Rovo」。4つの機能とプラットフォームの進化

 アトラシアンが進める「協働システム」とクラウドプラットフォーム。この中心に位置し、機能のハブとなるのが、アプリ横断型AI「Rovo(ロボ)」だ。「ロービング・ヘルパー(動いて支援する)」に由来し、組織内を動き回り協働を支援する。

アプリ横断型AI「Rovo(ロボ)」

 Rovoは4つの強力な機能を持つ。第一は「Rovo Search」。プラットフォーム上の全情報(Jira、Confluence、外部ツール)を横断し、文脈を理解して最適な答えを導くエンタープライズサーチだ。第二は「Rovo Chat」。社内外の情報をAIが解析し、対話を通じて質問回答や要約、タスク実行まで支援する。第三は「Rovo Agents」。標準またはカスタム可能なAIエージェント群で、定型レポート作成などを自動実行する「AIチームメイト」として機能する。第四が「Rovo Studio」。朝岡氏が「AIがAIを作る」と表現した、ノーコードのAIエージェントビルダーだ。現場担当者でも業務を自動化するAIエージェントを容易に作成できる。

アトラシアン・クラウド・プラットフォーム
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KDDIが4,000 ID移行を決断。AIが実現した「1.5人での大規模ID管理」

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Biz/Zine編集部(ビズジンヘンシュウブ)

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