NECは、個人や組織がもつ暗黙知をデータ化して学習・活用し、Web上での業務を自動で実行するエージェント技術「cotomi Act(コトミ アクト)」を開発した。

cotomi Actは、従来のAIでは扱いが難しかった現場に根付く暗黙知を自動的に抽出・形式知化し、業務コンテキストを理解できるパートナーとしてのAIエージェントへと進化させる技術。長年の経験や試行錯誤によって培われてきた個人の直感やノウハウまでもデータとして取り込み、従来は困難だった複雑で専門性の高い業務の高度化・自動化を実現する。

同技術の特徴は次のとおり。
1.ブラウザ上の行動から暗黙知を自動でデータ化
専門家へのヒアリングなど従来の人手による作業では獲得が困難だった個人や組織の専門業務に内在する暗黙知を、デジタル業務の接点であるブラウザ上の操作履歴やログなどの行動履歴から自動的に抽出し、意味や背景まで理解した上で形式知化。これにより、人手では捉えきれなかった領域の暗黙知をデータ化し、AIエージェントによる学習や業務に活用することが可能となる。
2.データ化した暗黙知を活用してAIエージェントを高度化
ブラウザ上の業務行動からデータ化した暗黙知は、NEC開発の生成AI「cotomi(コトミ)」を含むさまざまな技術によって自動的に分析され、実際の業務に活用される。これにより、AIエージェントはユーザーからの曖昧な指示に対しても、膨大な暗黙知の中から必要な知識を的確に見分け、情報や手続きを自動で検索・選択することが可能。その結果、指示に対して何度も質問することなく業務のコンテキストを理解した適切な対応ができ、複雑で専門性の高い業務も高精度かつ自律的に実行できる。
3.人間を超えるタスク成功率を達成
同技術を活用したWebブラウザの拡張機能として動作するAIエージェントは、Webエージェントの国際的ベンチマーク「WebArena」において、人間を上回るタスク成功率を記録した。WebArenaは実際のインターネット利用に近い環境で、ECサイトや掲示板、コラボレーション開発、コンテンツ管理、地図検索などを対象に、AIが自然言語の指示通りにWeb操作できるかを評価する指標。人間の成功率は78.2%、従来のAIエージェントは40%~70%前後にとどまっていたが、今回cotomi Actを活用したAIエージェントは80.4%を達成し、人間の成功率を上回った。


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