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AIエージェントが経営の意思決定まで担う──アクセンチュアが描く「AIによる全社変革」の未来図

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データとAIが導く具体的な経営判断。3社の先進事例

 経営層との概念的なディスカッションだけでなく、より具体的な数値に基づいた経営シミュレーションでも、AIの活用は進んでいる。会見では、3つの先進的な事例が紹介された。

 1つ目は、東洋エンジニアリングにおける受注計画・実行計画の最適化の事例だ。プラントエンジニアリング業界では、個々の案件が経営に与えるインパクトが大きく、どの案件を受注し、どの案件を見送るかという「やらないことの選択」が極めて重要となる。同社では、個々のプロジェクトのQCD(品質・コスト・納期)をモデル化したデジタルツインを構築し、経営判断を支援している。

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 2つ目の事例は、ある電子部品メーカーにおける「予実乖離の因果推論」だ。経営ダッシュボードで売上計画が13%乖離していることが判明した際に、その根本原因をAIが探る。この仕組みでは、セールスCRM、サプライチェーン、製造など、各業務システムを担当する専門AIエージェントが連携し、問題の因果関係を自動で推論する。

 3つ目の事例は、公開情報とアクセンチュア独自の経営分析フレームワークを用いて、企業の2030年に向けた成長戦略をAIに立案させるというものだ。このアプローチのポイントは、AIの背後に財務シミュレーターが組み込まれている点にある。これにより、AIが生成した戦略の妥当性を数値で検証し、ハルシネーションのリスクを低減している。

「AIが前提のプロセス」への変革をどう進めるか

 華々しいAI活用の未来像が示される一方で、保科氏は企業が直面する根深い課題についても警鐘を鳴らした。「人間がやっているプロセスをAIで効率化しよう、自動化しようという発想になりがちだが、本当にそれが最適なのだろうか」と問いかけ、「AIが前提となるプロセスを考えなくてはいけない」と強調した。

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 この課題を克服するために不可欠なのが、AIの進化に柔軟に対応し、複数のAIを適切に組み合わせて統合する「AIプラットフォーム」の存在だ。保科氏は、企業がAI活用を進める上で、「AI進化への備え」「複数AIの組み合わせ」「責任あるAI」「社内情報との連携」「外部サービスの活用」という5つの要素を考慮した統合的な仕組みづくりが重要だと説く。

 こうした変革は、当然ながら「人間」の役割にも大きな変化を迫る。「デスクワークの付加価値は低下していく」と保科氏は断言する。これからの人間に求められるのは、データ化されていない現場の情報を五感で掴み取ることや、感情を持つ人間同士の深い信頼関係を構築することだ。

 最後に保科氏は、AI時代の全社変革を成功させるには、「ビジネス・業務を変える」「人財・組織を変える」「AI・データ基盤を変える」という3つの要素を一体で進めることが不可欠だと語った。

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この記事の著者

梶川 元貴(Biz/Zine編集部)(カジカワ ゲンキ)

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