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脱スタートアップ!企業成長のためのミッション、パーパス、ビジョン、バリュー策定

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パーパスとビジョンの棲み分けに苦戦

 今までイタンジでは「これを開発したら不動産の現場がラクになるんじゃないか」「この仕組みをつくれば不動産業界がもっと良くなるはずだ」という情熱やアイデアが先にあり、その実現のために尽力していました。まず手を動かして目の前の課題を解決し、後から「この事業を通じて社会に何を還元したいのか」という問いをパーパスやビジョンとして言語化する順番です。

 問いに向き合いながら、ようやく以下のパーパス、ビジョンにたどり着くことができました。

 最初は「不動産のインフラになり、人々が大切なことに向き合えるようにする」という一つのビジョンで表現しようとしました。「不動産のインフラになること」と「人々が大切なことに向き合えるようにすること」を切り分ける必要性に気付くまで、かなりの時間を要しました。

 パーパスとビジョンの役割を切り分けつつ、関連性を持たせることに苦戦しました。そもそも両者の定義を曖昧に理解していたため、整理に時間がかかったのです。同業界にパーパスを策定している企業が少なく、パーパスとビジョンが一体化しているケースも多かったため、事例探しにも苦労しました。

“出発点”ではなくたどり着いた“答え”

 ミッション、パーパス、ビジョンの役割と関係性について私なりに考え抜いた末、次の定義に落ち着きました。

ミッション
「何をするために自社が存在するのか」を示すもの

パーパス
「社会に対して自社がどのような価値を提供するのか」を示すもの

ビジョン
「ミッションを遂行しながらパーパスを達成するために実現しなければならないこと」を示すもの

 言語化にあたっては、役員や各事業部とも対話を重ねました。「理念を新しく創る」というより、既にある従業員の価値観や姿勢をすくい上げ、輪郭を与えていくような作業でした。

 私たちにとってパーパスやビジョンは“出発点”ではなく、事業を通じてたどり着いた“答え”に近いものです。一般的な策定の順序とは異なるかもしれませんが、私たちにとってのリアルであり、納得感のあるプロセスだったと感じています。

 ミッション、パーパス、ビジョンが固まった後は、具体的な行動指針であるバリューを策定しました。バリューには大きく二つの側面があると考えています。一つは、ビジネスの発展に直結する行動原則。もう一つは、自分たちらしさや理想とする人物像のような、美学を表す標語です。思いついたバリューが「事業上必須の行動」なのか、それとも「価値観や美意識」なのかを仕分けると整理しやすいでしょう。

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「価値は?」「クレイジーか?」二度問う理由

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この記事の著者

永嶋 章弘(ナガシマ アキヒロ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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