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「SaaS Is Dead」で淘汰される会社、生き残る会社──「Beyond SaaS」の実装とは?

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 2024年末、米国テック大手の最高経営責任者(CEO)による発言を契機に、国内のスタートアップ・投資家コミュニティを大きく揺るがしてきた「SaaS Is Dead(SaaSは死んだ)」という言説。さらに2026年初頭、生成AI(人工知能)が自律的に高度なコーディングを行う「Claude Code(クロード・コード)」の登場により、ソフトウェア株が急落した「Anthropicショック」は記憶に新しい。従来の「アカウント数(ライセンス)課金」や「ARR(年間経常収益)」を至上命題としてきたビジネスモデルは、本当に終焉を迎えたのか。本レポートでは、2026年5月26日に開催されたメディアセミナーの模様を詳報する。ニッセイ・キャピタルのシニアキャピタリスト・伊藤佑将氏による市場概況の解説に加え、国内の先端を走るSaaS・AIスタートアップ3社(ログラス、TOKIUM、マツリカ)の経営陣が登壇し、「SaaSのこれから」をテーマに、技術パラダイムシフトの本質と、今後目指すべき「Beyond SaaS(ビヨンド・サース)」のエクイティストーリーを激論した。

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投資家から見た「SaaS選別」の時間軸

 第1部の冒頭、ニッセイ・キャピタルのシニアキャピタリストである伊藤佑将氏がマイクを握り、日本国内の未上場マーケットにおけるSaaS企業の変遷を振り返った。

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 国内のSaaS市場は2019年頃から大型IPO(新規公開株)が相次ぎ、2022年をピークに未上場投資が加速。「当時はARRの規模や成長率が過度に重視され、PSR(株価売上高倍率)10倍以上での評価が当然視されていた」と伊藤佑将氏は分析する。

 しかし、2023年以降は当時の高い期待値を超えられない企業の存在が表面化し、AIエージェントの台頭以前から既に「選別」は始まっていたという。現在は、単なる売り上げ規模だけでなく、市場の魅力や競争ポジショニング、そして「Rule of 40(売上成長率と営業利益率の合計が40%以上であることを目指す、SaaS企業の投資効率指標)」がより厳格に問われる時代へと移行している。

生成AIがもたらす「前提の変革」と投資判断

 伊藤佑将氏は、現在の生成AI・AIエージェントの潮流を「2000年以前のインターネット黎明期に匹敵するビッグウェーブ」と位置づける。一過性のトレンドではなく、産業構造そのものを大きく変える前提として捉える必要があるという。

「生成AIとの距離感や時間軸を重視した投資判断を行っています。AIによって市場が拡張する領域や、AIの導入を支援する領域は積極的な投資対象となる一方、AIに軽く代替されてしまう領域や、従来の参入障壁(モート)が薄れてしまう領域は慎重に見極めています」(伊藤氏)

 これからのAI時代において、投資家目線で重要となる経営のポイントとして、同氏は以下の3点を提示した。

  1. 自社の立ち位置・サービスの再定義:既存のアセットに固執せず、AI前提の市場変化に合わせて自社をリブランディングできるか。
  2. 新たな参入障壁(モート)の構築:単なるSaaSであることやARRの伸びだけでなく、顧客接点の深さ、独自データの収集、ワークフローへの深い組み込みといった付加価値を証明できるか。
  3. 柔軟な資本政策:調達環境の厳格化を踏まえ、大型調達だけでなく、大企業の傘下入りやM&A(合併・買収)も視野に入れた現実的な選択肢を持てるか。

「重要なのは『AIに代替されない』という守りの発想ではなく、『AIによって自社の価値をどう拡張し、伸ばしていくか』という攻めの観点です」(伊藤佑将氏)

三者三様の「SaaS Is Dead」への見解

 続く第2部では、ニッセイ・キャピタル・伊藤佑将氏の進行のもと、事業会社3社を交えたパネルディスカッションが執り行われた。論点となったのは、提示された「SaaS Is Deadは本当なのか?」という問いに対する、各社の明確なスタンスの違いである。

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■ログラス・伊藤駿氏:ビジネスモデルは「ベンダー側の都合」にすぎない

 証券会社での投資銀行業務を15年経験し、リーマンショックなどの市場構造変化の最前線を見てきたログラスのCFO・伊藤駿氏は、「SaaSかどうかはビジネスモデル、つまりベンダー側の都合の話であり、顧客への提供価値の議論ではない」と言い切る。

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 同社が展開する経営管理ソフトウェア「Loglass」は、Excelで行われていた複雑な経営計画・実績分析をシステム化するものだ。既に同社では、純粋なSaaSの枠に捉われず、MIXI社との取り組みのように、顧客のIT環境に最適化した「個別開発」の領域にも事業を広げている。

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■マツリカ・佐藤風太氏:AIの脅威度を決める3つのスクリーニング

 新卒でマツリカに入社し、セールステックの調査・分析や全社戦略を担ってきた佐藤風太氏は、「従来型のSaaSがそのまま残るとは考えにくいが、すべてがデッドするわけではない」と語る。

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 同社は、SFA/CRM(営業支援・顧客関係管理)を起点に、データ循環とAIの力で営業・マーケティングを進化させるAIソリューション群を展開している。

■TOKIUM・西山希氏:主従関係の逆転と「自動化比率」のKPI化

 2017年からTOKIUMの成長を支え、コーポレート部門を管轄するCFOの西山希氏は、「ピュアなソフトウェアを提供するだけのSaaSは死ぬ」と最もエッジの効いたスタンスを取る。

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 同社は「あらゆる経理作業から人々を解放する」をビジョンに、紙のレシートや請求書のデータ化・BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)から成長を遂げてきた。足元では開発環境におけるエンジニアのコーディング自動化が進んでおり、プロダクト開発の現場では「AIによる自動化比率」が重要なKPIになっているという。

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「人が主、システムが従」から「AIが主、人間が従」へ

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この記事の著者

栗原 茂(Biz/Zine編集部)(クリハラ シゲル)

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