橋渡し役としてのコーポレート・ベンチャーキャピタル
多様な外部パートナーと組んで新しいものを生むオープンイノベーションの必要性がますます高まる中、本家出島と同じように、外との連結機能を果たしている出島組織が多数存在する。
その代表事例として、JR東日本スタートアップにお話を伺った。
内と外をつなぐために、どんな橋の架け方をしているのだろうか。
話し手
柴田裕
JR東日本スタートアップ 代表取締役社長
聞き手
倉成英俊
出島組織サミット実行委員会副会長 株式会社Creative Project Base 代表取締役
──事前のメールでは、全然普通のオフィスです、とおっしゃってたんですけど、全くの謙遜でしたね。ビル入口からすでにめちゃくちゃオシャレじゃないですか! 2FがPlayGround、4FはPlayListとか書いてあって。総務課とか人事とかじゃなく。楽しそうな感じになってて。
柴田 いらっしゃいませ。基本的には出島なので、あんまり組織みたいなのは入ってないんですよ。うちとスタートアップ企業が入ってるのと、あとはサテライトオフィスになってるんで、いないです、総務課とか。PlayGroundは、自由に使っていいイベントスペースみたいな感じで、それ以外は大体サテライトオフィスやシェアオフィス。
──あとエレベータ前には、楽しくやれよ、みたいなビジョンが横文字でオシャレに書いてあって、いろんな人が来たくなりそうな感じ満載ですね。では組織のご紹介をお願いします。
柴田 はい。JR東日本スタートアップは、2018年にできたJR東日本が100%出資するコーポレート・ベンチャーキャピタル(以下CVC)でして、JR東日本グループとスタートアップ企業をつなぐために作った組織体です。
自称、事業を作るCVCと言っていまして。ベンチャーキャピタルは普通、出資が大きな柱ですけど、僕らは事業を作る方に注力しています。スタートアップ企業って、JRからしてみるとエイリアンなんですね。そことJR東日本をつなぐには橋渡し役がいる。その役割をしているのが僕らの会社です。
──橋渡しのための出島組織は、どういう風に外に出ているんですか?
柴田 紙芝居を作ったんで、それで説明していいですか?
──ぜひぜひ。
柴田 うちの本土であるJR東日本はでっかいですから。社員5万人とかの中で、最初3人で、離れたところに、出島を、もうポツンとちっちゃく(図1)。スタートアップ企業向けに、勝手にここの出島だけ「開国」したんですね。
そこで僕らは、アクセラレーション・プログラムを始めた。JRが持ってる駅とか、駅ナカ、駅ビル、ホテルとか使って一緒に何かやりたい「新しい企業ありませんか~」って。
そうすると、いっぱい船がやってくるようになって。意外と本土の中で一部、おもしろいって関心を持ってくれたので、その辺から新しい事業を作っていきました(図2)。それで、調子に乗って、いざでっかいお城がある本丸に突入したら……、もう完全にこれが炎上してですね。撃沈しました(図3)。
ただし、本丸の脇っちょ側が、意外に関心を持ってくれるようになって、その周辺から仲間にしていこうかな、みたいなフェーズになり(図4)。
──順調そうに見えて、試行錯誤の歴史あり、なんですね。これ、現在を表す図4では、出島が長崎以外にも、横浜とか神戸とかにも、橋がかかってるような感じですか?
柴田 そうですね。橋がかかってるのは、鉄道の本丸の運行部門とかじゃなくて、特にJR東日本グループの中でも商業系が多いですね。駅ナカとか、駅ビルとかって、他にライバルがいて競争があるんで、独自性作りたいわけですよ。あとは、グループ会社とか子会社。実際に実務やってて、人手不足とかでどんどん新たなテクノロジーを取り入れないと死活問題なので。

